消費税増税が2017年へと先送りにされたが、いずれやってくる消費者への負担の軽減策として打ち出されたのが「軽減税率」というものであった。しかし、果たして軽減税率というものをすんなりと受け入れてよいのだろうか。
消費税増税が2017年へと先送りにされたが、いずれやってくる消費者への負担の軽減策として打ち出されたのが「軽減税率」というものであった。しかし、果たして軽減税率というものをすんなりと受け入れてよいのだろうか。
軽減税率は生活必需品や食料品に対して税率を下げ、低所得者の消費増税による負担を減らそうとする政策である。弱者救済を目的としたものであるが、結局強者にも適用されていて所得再分配の効果が得られていないなどの厳しい声も上がっている一方、今後も消費増税するなら導入はやむをえないという意見もある。
軽減税率導入の最大の争点はそのあいまいなボーダーラインである。どの商品にどれだけの税金をかけ、どの商品を軽減税率対象外とするのかというものである。対象外とされた業界からの不満の声は必須であり、この税制の導入により手続きの複雑さがより増え、課税漏れが起きる可能性があるなど問題は山積みである。そもそも、消費税は全国民の最寄り品などに均一に課税することによる安定的かつ潤沢な財源を確保することを目的とするものであり、その税率を修正し軽減化することは確かに国民にとっては嬉しいことであるが歳入増しを目的とした消費増税の目的を果たしているのだろうか。
諸外国でも軽減税率が適用されている国もある。食品などに対し税率を軽減し、輸入で不利になった国内産業を助けるなどにとても有効な制度に思える。しかし、多くの国は税率15%以上の国であり先進国でも特に消費税の税率が小さく、国債1280兆円を上回る日本にそのまま当てはめるのはナンセンスというものであろう。
もちろん軽減税率はとても優秀な制度であるが、ボーダーライン、会計上の簡素化による脱税の排除も含めて多くの時間をかけて検討しなければならないものである。消費増税と同時に導入されるのが理想ではあるが、不十分なままに施行され混乱するくらいならば見直しを望む声も少なくはないという状況である。(編集担当:久保田雄城)