不二越<6474>は日刊工業新聞に、スマホの組立・検査用の小型軽量ロボット事業に参入という記事が載り16円高。細かい手仕事は日本製ロボットのお家芸。紙おむつなど衛生用品の製造機で国内首位の瑞光<6279>は、下半期予定だった新規製造機械の出荷が次期にずれ込むなどして2月期通期の経常利益見通しを46.5億円から29.7億円に下方修正し295円安で年初来安値を更新した。
三井住友建設<1821>は、復興需要による業績回復を背景に優先株の消却処理が完了して5円高。売買高は3位。優先株処理がまだ残っている建設会社は約130億円分が残る飛島建設<1805>ぐらい。三菱自動車<7211>もすでに完了している。建設関連廃棄物処理のタケエイ<2151>は、フランスの世界的環境企業ヴェオリア・エンバイロメントの日本法人と資本・業務提携を締結し第三者割当増資で約4.6億円を調達すると発表したが、ファイナンスは下げ要因で11円安。自動車用発炎筒のカーリットHD<4275>は40万株、2.6億円上限の自社株買いを発表して22円高だった。
サッポロHD<2501>は豊田通商<8015>と共同でアメリカの果汁飲料メーカー、カントリーピュアフーズを約120億円で買収すると報じられたが値動きなし。豊田通商は26円高。大塚家具<8186>は12月期通期の営業損益見通しを2億7900万円の黒字から4億9600万円の赤字に下方修正して33円安。イオン系ドラッグストアのCFSHD<8229>は3~11月期の経常利益が5割増で22億円程度に達し年間配当増額修正の公算大という業績観測記事が出て23円高。既存店売上高を伸ばしたのは薬ではなく冷凍食品。ABCマート<2670>は新たに取り扱いを始めたアシックス<7936>のランニングシューズが大人気で、3~11月期の営業利益が2割増の310億円前後で過去最高益を更新する業績観測記事が出たが100円安。アシックスも52円安だった。
カレーショップの壱番屋<7630>は6~11月期の営業利益見通しを20億円から23億4500万円に上方修正して80円高。既存店売上高は6.7%増と好調だった。通期見通しは据え置き。日本マクドナルドHD<2702>は全店舗の約7割を占めるFC店に対し、1月からロイヤリティーの減額を中心に新しい経営支援策に乗り出し22円高で高値引け。12月決算なので配当・株主優待取りの買いが集まった一面もあった。経営支援で本部は総額20億円規模の収入減になるが、経営努力で遠のいた客足が回復すればと期待している。
JAL<9201>は、2010年の会社更生法適用以来とられている法人税の免税措置を政府・与党が今年度末で廃止する意向と報じられ売買代金7位、150円安で値下がり率13位。いつかは文字通り「年貢の納め時」が来るのだが、来期から配当原資が少なくなる懸念で売られた。スカイマーク<9204>は5円高だがANAHD<9202>は0.9円安で、空運セクターは業種別騰落率最下位に甘んじた。
セコム<9735>は東京五輪も想定し、無人の飛行船を使った警備サービスを2016年に始めると発表し3円高。イベント会場や被災地で飛ばし不審者の追跡や避難誘導などに活用する。空中にのんびり浮かぶ飛行船はイメージがソフトで監視されている感じがあまりしないのもメリット。不動産情報検索サイト「ホームズ」を運営するネクスト<2120>は特に材料はなかったが66円高で値上がり率1位。アデランス<8170>は68円高で同2位。スティール・パートナーズの保有比率が21.73%から0.62%に急減したのを好感された。物言う株主は投資家から煙たがられる。食品スーパーの神戸物産<3038>は580円高で年初来高値を更新し同3位だった。ゲーム関連銘柄では、コナミ<9766>はiPhone向け無料ゲームランキングで「実況パワフルプロ野球」「ボンバーマン」が1、2位を占めたのを好感され50円高だった。
新興市場は日経ジャスダック平均は0.40%下落、東証マザーズ指数は0.44%上昇。ジャスダックの扶桑化学工業<4368>は3月期通期の営業利益見通しを41.5億円から47億円に上方修正して137円高。マザーズのケアネット<2150>は、12月期通期の売上高を14億7400万円から16億円へ、営業利益を7600万円から1億5500万円に上方修正。期末配当を4円から6円に増額修正してストップ高比例配分の150円高だった。
新規IPOは3件。東証マザーズに横浜市が本社(実質上の本社は鎌倉市)で「面白法人」として知られデジタルコンテンツ事業を行うカヤック<3904>が新規上場。結局この日は初値がつかず、公開価格560円の2.3倍の1288円の買い気配で終了した。東証マザーズにゲーム・エンタメソフトの開発やゲームサービスの提供を行うエクストリーム<6033>が新規上場。結局この日は初値がつかず、公開価格1400円の2.3倍の3220円の買い気配で終了した。初値を持ち越したケースは12月の新規IPOでは初めて。東証2部に木質リサイクル素材の「パーティクルボード」の製造・販売を行う東京ボード工業<7815>が新規上場。公開価格2180円に対し9時12分、8.02%安い2005円の初値がついた。やはり東証2部はIPOの鬼門のようで今月5回目の黒星。終値は2018円で公開価格を一度も上回れないほろ苦いデビューだった。
この日の話題は「原発の廃炉」。政府が廃炉による損失を軽減できるよう会計制度を見直す動きを示したのを受け、日本原子力発電と関西電力<9503>、九州電力<9508>、中国電力<9504>は、運転開始から約40年経過した5基の老朽原発を廃炉にする方針を固めた。美浜1、2号機を廃炉にする関西電力はJPモルガンがレーティングを引き下げ64.5円安で値下がり率5位。高浜1、2号機も40年を過ぎたが「出力が大きく費用対効果が良い」という経済的理由で運転継続を目論む。玄海1号を廃炉にする九州電力は47円安、島根1号を廃炉にする中国電力は14円安。日本原電は、1970年3月14日の大阪万博の開会式に合わせて営業運転を開始し、式典中にそれが放送されて拍手を浴びた敦賀1号を廃炉にする。万国博は「科学技術の進歩で人類は必ず幸福になれる」とみんなが信じた「懐かしい未来」だった。跡地の記念パビリオンで売られているメモリアルガイド本の帯にも書かれているこの言葉は今、福島では全く違う意味で使われている。(編集担当:寺尾淳)