産業ロボットが日本を変える 開発助成制度本格検討

2014年12月29日 11:37

 経済産業省は産業用ロボットの開発・製造を後押しするため、メーカーへの補助金などの助成制度導入について本格的な検討に入った。2015年からの実施が計画されており、人手不足に悩む介護業界を中心にロボットの普及が進められていきそうだ。

 経済産業省はすでに今年5月の段階で介護ロボット機器促進を目的とした31事業に対し、補助金約7.8億円の投入を決定している。前年度には20事業を採択しており、合わせて18.2億円の補助金総額となった。高齢化が進む中で、介護を支える現場の力は不足している。少子化によって労働人口そのものが減少しており、特に介護業界は慢性的な人手不足の状態だ。このため、高齢者の自立支援や介護従事者の負担を軽減する介護ロボットの開発に期待がかかっている。

 介護ロボットの具体案としては、介護従事者が使用する装着型介助機器、高齢者の移動を助ける介護ベッドや椅子などの非装着型介助機器、視覚センサーを利用した見守り支援機器、一人暮らしの高齢者などの転倒を検知するシステムなどがある。

 政府はこうした介護事業のほか、運送業や、製造業などの幅広い分野で、ロボットを導入していく方針で、産業ロボットを「新たな産業革命」と位置づけている。

 これまで産業ロボットは自動車メーカーや電気機器メーカーなど、大企業での使用に留まっていた。しかし今後は、中小企業やサービス業での導入を促進していき、人手不足の解消と国全体の生産力向上を目指す。検討されているのは、「ものづくり」の製造ラインのロボット化や、倉庫内での搬送や、調理補助など。これまで以上にロボットの用途を幅広くとらえて、産業ロボットの進化を支えていく支援策が打ち出されている。また、宿泊業や、災害救助など、ロボットの新規参入分野の開拓も進めていく。経済を活性化させる新事業として、ロボットが今後の展望を開くカギとなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)