クリスマス明け26日のNYダウは23ドル高と、4営業日連続で史上最高値を更新した。NASDAQ総合指数も33ポイント上昇。中国人民銀行の流動性拡大策が報じられたのはともかく、リビアの石油輸出ターミナルが海上から反政府勢力に攻撃され、タンクが炎上し政府軍兵士22名が死亡した事件が原油先物価格を上昇させるという皮肉な株価上昇要因もあった。「地政学的リスクでリスクオン」とでも言うべきか? テロリストが「ウォール街を喜ばせてやる」と石油施設を襲撃しないか心配。それでもエクソンモービルは0.6%、シェブロンは0.2%、コノコは0.4%下落。テスラ・モーターズは「ロードスター」のリニューアル報道で2.5%上昇した。29日朝方の為替レートはドル円は120円台前半、ユーロ円は146円台後半でややユーロ高。
安倍内閣は27日の臨時閣議で、補正予算案に盛り込む3.5兆円規模の経済対策を閣議決定した。地方自治体の状況に応じて柔軟に活用できる交付金を創設するなどし、地方経済の活性化で景気を下支えするとともに実質GDPの0.7%程度の押し上げを狙う。生活者・事業者支援に1.2兆円、地方活性化に6000億円、災害復旧関連に1.7兆円を計上する。新設の地方自治体向けの2つの交付金は、プレミアム付き商品券、ふるさと名物商品券・旅行券、低所得者向け灯油購入助成など5項目の「地域消費喚起・生活支援型」に2500億円、地方へ転居して就業する「UIJターン」や少子化対策など7項目の「地方創生先行型」に1700億円を計上する。同時に、東京一極集中の是正、地方の若者雇用30万人創出などの目標を掲げ地方の人口減少に歯止めをかける「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と「長期ビジョン」も閣議決定した。2015年度に地方に就職する大学生に対し奨学金の返還を減免する制度も正式に発表した。
政府・与党は、30日の与党税制改革大綱に盛り込む2015年度税制改正の大枠も固めた。2015年度の法人税の実効税率は2.51%引き下げ、2年間で3.29%引き下げ、数年間で実効税率20%台を目指す。赤字企業にも課税する外形標準課税の強化では中堅企業の負担軽減措置を設けるが、自社株買いに対する減税には制限を加える。固定資産税や不動産取得税の減税も3年延長。軽自動車税に低燃費車を優遇する仕組みを新設し、農林漁業者の軽油引取税免除を2015年度から3年延長する。贈与で住宅を取得した場合の贈与税の非課税枠は2015年に1500万円、2016年10月に3000万円に拡充。消費税の軽減税率は「2017年度からの導入を目指す」という文言を2015年度の与党税制改正大綱に盛り込むことで自民、公明両党が合意した。
CME先物清算値は17920円。日経平均は95.59円高の17914.55円で始まる。TOPIXもプラスで始まる。いよいよ18000円タッチ、18030円の年初来高値更新かと思わせたが、始値が高値の「寄り天」で17900円もはかなく陥落してしまう。その後は17800円台後半で膠着する時間帯が続き、上海市場も香港市場も続伸プラスで始まったが東京市場は反応なし。3回目の投票直前のギリシャの大統領選の行方が心理的に影を落としていた。為替は円安方向に振れても上値を抑えられ17900円台再浮上もままならず、午前11時台にはズルズル押し下げられ前引けは17850円だった。それでも前日比プラスなので後場の「日銀砲」は期待できない。
後場はマイナスで再開。午後0時台はまだ前日終値付近でもみあっていたが、午後1時頃から「ゲリラ急落」勃発。先物売り勢力は「日経平均3年連続大納会高値引け」など断じて許すまじと〃蹶起〃した。先物主導で17700円も17600円もやすやすと突破され、1時22分に25日移動平均の17494円の手前、17525円でようやくストップした。「大納会が高すぎて1月にボロボロ下げたらイヤだ」というマーケットにひろがる変な思惑がつけ入るスキを与えたのか? 為替は後から円高方向についていく。材料としては西アフリカのシエラレオネから帰国した30代の東京の男性にエボラ出血熱の疑いが出て検査中というニュースがあり、検査結果は夜まで判明しない。前場プラスで「日銀砲」が撃たれないため頼れるのは個人の押し目買いぐらいで、下げ止まって回復しても弱々しく1時台は17600円台半ば止まり。2時台は前半モタモタしていたが、後半になると為替の円安反転に伴って下げ幅を圧縮し17700円台に乗せる。終盤はTOPIXはプラスに一時タッチし日経平均も17800円に接近するが及ばず、終値は89.12円安の17729.84円と反落した。日中値幅は「寄り天」で389円とゲリラ急落の爪痕まざまざ。TOPIXも-2.83の1424.67と反落した。売買高は19億株、売買代金は1兆7966億円と、欧米のクリスマス休暇が明けても薄商い。来るのは思惑につけ込む情け無用の先物売り勢力ばかりなり。
東証1部の値上がり銘柄数は1090で全体の58%を占め、地合いは決して悪くない。値下がり銘柄数は646。33業種別騰落率は10業種が上昇し23業種が下落。プラスセクター上位は水産・農林、電気・ガス、小売、建設、陸運、保険など。マイナスセクター下位は石油・石炭、不動産、鉱業、パルプ・紙、金属製品、ゴム製品などだった。
日経平均採用225種は値上がり75銘柄、値下がり143銘柄。プラス寄与度1位は8日続伸の日東電工<6988>で+2円、2位はセブン&アイHD<3382>で+1円。マイナス寄与度1位は後場の指数操作ミッションでプラスから大幅安まで落ち込んだファーストリテイリング<9983>で-17円、2位は東京エレクトロン<8035>で-6円だった。
メガバンクはみずほ<8411>は0.2円安、三菱UFJ<8306>は4.9円安、三井住友FG<8316>は15円安。野村HD<8604>は3.1円高で、4月に3年連続で賃上げする方針を明らかにした大和証券G<8601>は2.3円高だった。1~3月の駆け込み需要で、軽を含めた国内新車販売が2014年の前年比3%増の約556万4000台で8年ぶりの高水準と報じられた自動車は全面安で、トヨタ<7203>は34円安、ホンダ<7267>は20円安、富士重工<7270>は26円安、マツダ<7261>は62.5円安。300億円を投じて国内店舗の刷新を図る日産<7201>は5円安。軽自動車は2014年は過去最高の販売台数を記録し、軽で8年ぶりにダイハツ<7262>から首位を奪還したスズキ<7269>は41.5円安、ダイハツは24円安だった。
PS4などゲーム機のネット機能に接続障害が発生し、ハッカー集団が犯行声明を出していたが復旧と発表したソニー<6758>は10.5円高。空き家再生事業に取り組むパナソニック<6752>は2円高、シャープ<6753>は値動きなし、日立<6501>は2.2円安、東芝<6502>は4.5円安、富士通<6702>は2.9円安と電機大手は高安まちまち。電力会社向けに大容量・低価格の蓄電池の供給を始めるNEC<6701>は値動きなしだった。
電子部品大手が自動車の電子制御(ECU)用に耐久性の高い部品を量産すると報じられた。高温のエンジンルームでも使える電源回路部品を生産するTDK<6762>は80円安、衝撃に強いセンサー部品の供給を始めた村田製作所<6981>は50円高。遠く離しておく必要がなくなればケーブルが短くなり軽量化、燃費向上につながる。三益半導体<8155>は68円高で年初来高値を更新し値上がり率15位。スマホ向けシリコンウエハーが順調で、6~11月期決算の経常利益が従来予想よりも3億円上積みされ、いちよし経研がフェアバリューを引き上げていた。