これはなにも百貨店業界だけに限らない話ではあるのだが、今年の4月に実施された消費税増税前の駆け込み需要にともなう反動減により、各百貨店は消費税増税実施後、軒並み売り上げを落とすこととなった。もちろんそうして売り上げを落としたのは百貨店業界だけではない、スーパーなどの流通業界、外食産業なども売り上げを落とし、その長引く反動減の影響に苦しめられ続けた。あるいはまだ、その影響の余波は残っていると言ってもいいかもしれない。
3月に発生した増税前の駆け込み需要では、百貨店は海外ブランドや高級時計、宝飾品などの高額商品が好調な売れ行きをみせ、日本百貨店協会が4月に発表した3月の全国百貨店売上高は前年同月比25.4%アップの6818億円であり、その時点で5ヶ月連続での前年同月を上回る結果となっていた。しかしそれから2ヶ月経った5月の売上高は、前年同月比4.2%マイナスの4618億円であり4月に続いて2ヶ月連続のマイナス。そしてさらに3ヶ月経った8月の売上高は前年同月比0.3%ダウンの4272億円であり、そのマイナス幅は縮小傾向をみせ反動減の影響からの脱却傾向が見られたものの、結果としては増税実施後5ヶ月連続でのマイナスとなった。
そして12月19日に日本百貨店協会により発表された、11月の全国百貨店売上高は前年同月比1.0%ダウンの5581億円という結果であり、前月10月の2.2%ダウンからマイナス幅は縮小したものの、依然として反動減が百貨店業界に対して暗い影を落とし続けていることがうかがえる結果であり、これで税実施後8ヶ月連続で前年同月を下回る結果となった。
はたしてこうした「反動減の亡霊」がいつまで百貨店業界に付きまとい続けるのかは、まだまだ未知数である。しかし11月の全国百貨店売上高の詳細を見てみると、昨今の付加価値商品志向の高まりから高額商品が順調に推移している。また円安やビザ緩和の影響を受けて訪日外国人売上高も好調に推移して、11月の時点で22ヶ月連続のプラスとなっている。こうした好材料を背景に、来年以降はこの反動減の影響を振り払うことができるかどうか、15年の百貨店業界の動向に注目したい。(編集担当:滝川幸平)