すでに国内では飽和状態にあり、大きな業績拡大をはかることがむつかしいことから、各社ともに中国などのアジア地域に視線を注ぎ始めているスマートフォン(多機能携帯電話)向けゲーム市場だが、しかしだからと言って国内のスマートフォン向けゲーム市場がダメになってしまったわけではない。現在、ゲームユーザーの中には「スマホでしたゲームをしない」というユーザーが増えて来ており、またなかには「スマホゲームをやるようになって、初めて習慣的にゲームをやるようになった」というような、「新規ユーザー」までも開拓しているのが、今のスマートフォン向けゲームの特徴であり、強さであると言ってもいいだろう。
こうしたことからも、今後もますますスマートフォン向けゲーム市場は成長を続けるものと思われ(もちろん、その成長規模や速度は、これまでよりも緩やかになるだろうが)、まだまだコンシューマゲーム機にとって、「やっかいな敵」であることは間違いない。
しかしこうした成長を続けるためには、いくつかの条件を満たす必要がある。そのうちの1つは最初に行った「海外進出」であり、これについては「パズル&ドラゴン(パズドラ)」を運営するガンホー<3765>が中国にて「パズドラ」を配信開始、また「モンスターストライク(モンスト)」を運営するミクシィ<2121>も北アメリカ、台湾、韓国に続き12月より「モンスト」の配信を開始しており、すでに活発な動きを見せ始めている。
そしてもう1つの条件は、やはり継続的に新作ゲームを出し続けるということ。いくらスマートフォン向けゲームは利便性が高いとはいえ、その中身である「ソフト」が充実していなければ、継続的な成長は望めない。たとえば2014年「白猫プロジェクト」というタイトルでヒットを飛ばしたコロプラは、同年12月には「一瞬のスキマX」、「戦国かぶき道」というような3タイトルをリリースし、獲得したユーザー離さないための積極的なリリース戦略を行っている。
しかし、こうした動きは各社ともにみられ、海外進出するメーカーや、またリリースするタイトルが増えれば増えるほど、その競争も過酷なものとなるだろう。15年も、まだまだスマートフォン向けゲーム市場に、「顧客獲得争い」という嵐は拭き続けそうな気配だ。(編集担当:滝川幸平)