結婚しない男女が増えている。2012年の国勢調査では、男性の生涯未婚率が戦後初めて20%を突破したことが話題になった。2割の男性は一生に一度も結婚しないのだ。この数字は30年前の実に8倍である。
結婚する時期もどんどん遅くなっている。35~39歳の男性のうち、35%はまだ結婚していない。同じ年齢の女性も23%は独身。今や30代の独身男女の存在は珍しいものではなくなった。
少し前まで女性の結婚は「クリスマスケーキ」で、「25を過ぎたら安売り」などと言われていた。ところが今は「年越しそば」。30~31歳までに何とかなれば、と考える女性が増えている。
9割近くの男女が「いずれは結婚するつもり」と答えているにもかかわらず結婚できないのは、若者にお金がないからだ、女性が男性に高い年収を望みすぎるから、などとされている。しかし、そもそも若者は本当に結婚したがっているのか。04年の「負け犬」ブーム、08年の「婚活」ブームが来るまでは、当の若者自身もそこまで結婚を意識していなかったのではないだろうか。
彼らが独身でいる最大の理由は「結婚するための積極的な動機がない」だが、25~34歳になると半数近い男女が「適当な相手にめぐり会わない」と答えるようになる(2012年「子ども・子育て白書」)。とはいえ25~34歳では男女関係なく、そもそもまだ結婚の「必要性を感じない」、「自由さや気楽さを失いたくない」が約3割も存在する。
9割近くが結婚した団塊世代のように、「相手が多少気に入らなくても、とにかく結婚する」くらいなら「結婚の必要性は感じない」。現代の若者は、無理に結婚するよりも「適当な相手」を探して、結婚を先延ばしにする方が合理的なのかもしれない。
人々の生き方が多様化しているにもかかわらず、多くの男女が「型にはまった理想の結婚」を目指そうとするかぎり、「適当な相手」にはめぐり会わないだろう。今後も未婚率は上昇し続けると思われる。