選挙権「18歳」引き下げへ向けて本格始動 投票率改善も課題

2015年01月15日 12:49

画・選挙権「18歳」引き下げへ向けて本格始動 投票率改善も課題

与野党は選挙権を現行の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案を、1月26日の通常国会に提出する。一方で、若者の選挙離れが深刻な問題となっている。

 与野党は選挙権を現行の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案を、1月26日の通常国会に提出する。同改正案は2014年の秋の臨時国会で、与野党共同によって提出されたが、安倍首相が突如内閣解散を決断したことで廃案となった。今回再提出される改正案の成立は確実とみられており、本年度予算成立後の4月以降に実現する予定だ。

 「20歳以上」の投票権は1946年から続いていたが、2007年に公布された国民投票法により「18歳以上」と改められ、10年に施行された。しかし、公職選挙法の選挙権年齢や、民法上での成年年齢は「20歳」のままで、これらを合わせて改定するまでは、18歳以上が投票することはできない。各党は16年の夏の参院選から「18歳以上」の投票を実施することで合意しており、これに間に合わせるためにも会期末の迫る今年6月中までの成立が必要だ。

 海外を見てみると、選挙権年齢を18歳以上と定めている国が主流であり、世界の8割以上の国で採用されている。米国、ロシア、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダなど、先進主要国(G8)で20歳以上となっているのは日本だけだ。

 日本では人口に占める高齢者の割合が増加しており、選挙権年齢を引き下げることで若者の投票数を増やしていきたい考えだ。しかし、ただ年齢を引き下げることだけが投票数に繋がるわけではない。「明るい選挙推進協会」が調査した「衆議院議員総選挙年代別投票率の推移」によると、20代の投票率はほかの年代と比較して著しく低い。12年の投票率は60代が74.93%で最も高く、続いて50代が68.02%、70代が63.30%、40代が59.38%、30代が50.10%だった。これに対し、20代はわずか37.89%しかない。

 選挙権や投票権を引き下げるだけに留まるのではなく、合わせて若者の投票率を変えていく取り組みも必要だろう。欧州では、学校機関で選挙や政治に関する教育に取り組んでいる。子どものうちから政治について議論する機会を与え、模擬選挙や模擬投票を体験させる国もある。政治が自分たちの生活にどのようにかかわっているのかを身をもって知ることで、投票の重要性を理解することができるだろう。(編集担当:久保田雄城)