起業意識が低いと言われる日本の若者。世界銀行の調査によれば日本人の起業意識はどんどん低下を続け、現在はOECD諸国で最低。実際の起業率も低い。その上若者の起業が減っており、起業の中心は貯蓄があり、年金である程度の所得が保障されている高齢者となっているのが実状だ。新しいサービスやコンセプトが必要とされている今、このままでは日本は立ちゆかなくなるのではないか。
そういった中、政府は日本で起業する外国人に対して、ビザの条件を緩和するようだ。2014年6月に「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」が交付されたが、この法律に基づき、15年4月より、これまで「投資・経営」という名前だった起業・経営のためのビザが「経営・管理」と変わる。これまで必須だった外国資本による起業・経営という条件をなくし、国内資本企業の経営もこのビザで行えるようにするとのことだ。
また1月20日には、このビザの条件を緩和するとの報道があった。この報道によれば、これまで外国人が起業するためには、ビザの申請に先立って会社の登記を済ませておく必要があったが、4月からは設立準備を進めていることがわかる書類があれば申請ができるようになる。つまり、これまで外国人が日本で会社を設立するためには日本に住んでいる協力者を見つけ、その人の名義で会社を登記するなどの工夫が必要だったが、これからはそれがいらなくなるとのことだ。
少子高齢化で労働人口が減少するという、前例のない状況に直面している日本。日本人だけではこの国の経済を担いきれないという判断か、この新しい入国管理法には、何とか外国人の受け入れを進めたいという思惑がにじんでいるようだ。しかしこれまでも、外国人受け入れの増加と外国人犯罪の抑制は両立しにくい課題だった。それに現在の右傾化、保守化という潮流は、外国人と日本人の対立など、さらに難しい問題を起こしかねない。4月からスタートする新しい在留制度。政府のデリケートな舵取りが要求されている。(編集担当:久保田雄城)