遭難事故続くバックカントリー 求められる利用者のリスク認識

2015年02月11日 16:07

画・遭難事故続くバックカントリー 求められる利用者のリスク認識

バックカントリーによる遭難事故が問題視されている。バックカントリーとはスキー場のコース外をスキーやスノーボードで滑ることで、整備されていない自然の雪山を楽しめると人気が高まっている。しかし雪崩や天候の急変による遭難事故も多く、注意喚起や対策強化が叫ばれている。

 バックカントリーによる遭難事故の多発が問題視されている。バックカントリーとは、スキー場のコース外をスキーやスノーボードで滑ることで、整備されていない自然の雪山の地形を楽しめると人気が高まっている。しかし、自然の雪山は雪崩の危険や天候の急変もあり、もしも遭難や怪我をしても、ゲレンデ内のようにスキーパトロールや救助もすぐには来てくれない。ブームの高まりとともに、遭難事故への注意喚起や対策強化の必要性が叫ばれている。

 新潟県では、1月2日にバックカントリーをしていた男女3人が遭難し、2日後に救助された他、1月17日には男性2人が雪崩に巻き込まれ1人が死亡、同日別のスキー場でもバックカントリー中の男性1人と連絡が取れないと通報が入り、18日意識不明で発見され病院に運ばれたが死亡が確認された。長野県でも2人が死亡、長野県と富山県にまたがる北アルプス白馬でも3人が行方不明になるなど、バックカントリーによる事故は続いている。

 これを受け、スキー場ではバックカントリーをする際の登山届提出の徹底などを呼びかけているが、中には「別の場所で登山届を出した」と嘘をつくケースや、スキー場を経由せずに直接雪山に入るケースもあり、管理は難しい状況のようだ。泉田裕彦新潟県知事も、バックカントリー自体を一律禁止することには慎重な姿勢を示しながらも、専門ガイドの配置・育成や、スキー場や観光協会を通したさらなる注意喚起など、対策を検討していると発表した。

 対策ももちろんだが、遭難を抑止するためには利用者側の意識向上が必須だと言える。防災科学技術研究所雪氷防災研究センターは、「捜索用電波を発信するビーコン」、「雪中に埋まった人を捜すためのゾンデ棒」、「スコップ」、「食料」などの携行を強く呼び掛けている。また、事前に地形や天候、雪崩予報などの情報をしっかりと把握しておくこと、また地域のスキー場や地元住民、他の利用者との間のローカルルールを理解しておくことも大切だ。

 バックカントリーは、スキーやスノーボードなどのウィンターレジャーの延長ではなく、「雪山登山」だという認識を持つことが重要だろう。雪山のシーズンは地域によっては3月前半まで続く。早期のしっかりした危機意識共有と対策が望まれる。(編集担当:久保田雄城)