開発協力大綱 軍事協力傾斜に可能性

2015年02月12日 08:12

 政府が政府開発援助(ODA)に代わる「開発協力大綱」を10日に閣議決定し、援助は「民生目的および災害援助等、非軍事の目的に限る」としたものの「相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合に、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」として初めて相手国軍への支援を認めた。

 これに、NGOを支援する「国際協力NGO支援センター」は「歯止めなく軍事協力に傾斜していく可能性を強く懸念する」との緊急声明を出した。

 国際協力NGO支援センターは「災害援助を含む緊急人道支援の現場で軍が救援物資の輸送や基礎インフラの復興支援に重要な役割を果たすことはある」としながらも「軍への支援は当初は民生目的であっても、後に相手国の軍によって軍事目的に転用される恐れが常にある」と課題を提起。

 軍事転用されないよう担保するため、国際協力NGO支援センターは外務省に対し『相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する』との条文を削除するか、より明確な歯止めとなる文言を追加するよう要請してきたが「開発協力大綱では条文の削除も修正も一切なかった」としている。

 国際協力NGO支援センターはそのため「条文が抜け道になって、軍への支援がなし崩し的に拡大されることがないよう、ODA実施に非軍事の原則を徹底させ、使途に関する情報公開を一層進めるように」求めている。

 また「相手国軍・軍籍を有する者への支援が、中長期的に軍事転用されていないかモニタリングし、その情報を公開するよう」求めている。

 国会で、こうした点は議論になりそう。条文の「実質的意義」の文言についても「恣意的に解釈される危険がある」との指摘もあり、恣意的解釈ができないような文言への変更など議論が待たれる。(編集担当:森高龍二)