トヨタが2017年からWRC(世界ラリー選手権)に参戦すると正式の会見で豊田章男社長が語った。その会見で、同氏は、「モータースポーツには、人やクルマ・技術を鍛えるという大切な狙いがある。モータースポーツ活動を通じて、そこで育った人材や得られたノウハウを、今後の“もっといいクルマづくり”に活かしていく」とも述べた。
新たに2017年からFIA WRC(世界ラリー選手権)に参戦するために、今年はヤリス(日本名/ヴィッツ)をベースとしたWRC参戦車をトヨタモータースポーツ有限会社(TMG)で開発し、実車テストを行なうという。実際にトヨタ車ユーザーが日常使っているクルマで世界の一般道で競い合うWRCは、トヨタの「もっといいクルマづくり」を推進するために最高の舞台のひとつとであると判断し、参戦に向けた準備を開始するというのである。
トヨタのWRC参戦は今回が2度目だ。第1期は1973年から1999年(休止年/1996-1997年)だった。この間、43回のWRCラリー優勝と3回の年間チャンピオンを獲得した。当時の参戦車両は「セリカGT Four」だった。
今回、2017年から参戦するヤリスは、おそらく次期ヤリス(ヴィッツ)がベースとなる予定で、17年の開幕戦から参戦するにはホモロゲーション(参加資格)の獲得には市販ヤリス(ヴィッツ)は2016年内にデビューする必要がある。そうでなければ、2017年の開幕戦出場は無い。
次期ヤリス(ヴィッツ)についての具体的な情報はない。がWR CARとしてFIA(国際自動車連盟)から公認を受けるには、ホモロゲーション取得が必須だ。そのためには、直接的なベース車両となるスポーツモデルを世界で2500台以上販売しなければならない。
そのベースモデルたるスポーツ車は、ほぼ限定車として発売される傾向にある。事実、現在WRC常勝軍団であるフォルクスワーゲン(VW)は、参戦車両「ポロR」をホモロゲーション取得のために2500台限定で発売。欧州で即完売の人気モデルとなった。
だからというわけではないが、2016年にも登場するヤリス(ヴィッツ)WRカーもホモロゲーション取得のための限定モデルとしてリリースされるだろう。現在のWRCの規定では全幅1820mmがリミット。そのリミットまで広げるとは思えないが1800mmに限りなく近いワイドフェンダーが与えられたヤリスが登場しそうなのだ。
搭載するパワーユニットは、レクサスNXに搭載した新世代2リッター直列4気筒ターボ(238ps/4800~5600rpm、35.7kg.m/1650~4500rpm)の可能性が高い。組み合わせるトランスミッションは6速マニュアル。まさに小さなボディのモンスターの登場である。過激で小さなFFホットハッチ。価格は400万円オーバーと予想される。(編集担当:吉田恒)