先日発表した14年12月期連結決算でもって、キリンホールディングス<2503>とサッポロホールディングス<2501>に差をつけ、大きく業績を伸ばすこととなったアサヒグループホールディングス<2502>だが、その業績伸長の要因の1つには、NHKの朝の連続テレビ小説「マッサン」効果によりウイスキー事業が順調に推移したことがある。そしてアサヒグループホールディングスは13日、そうして順調なウイスキーや主力である「スーパードライ」などのビールにだけ依存するのではなく、ワインなどほかの事業の拡充をはかるため、子会社であるアサヒビールがワイン専門商社のエノテカを買収するとの発表を行った。
アサヒビールは2015年3月末までに、エノテカの株式を保有するユニゾン・キャピタルなどから発行済み株式をすべて取得し、完全子会社とする。ワイン専門商社のエノテカは、国内で48店舗、また香港、中国、韓国、シンガポールなどの海外で16店舗を展開しており、14年3月期決算の連結売上高は173億円であった。このエノテカを買収することにより、アサヒビールのワイン事業は300億円規模となり、ワイン市場が拡大傾向にあるなか、同事業の拡充をはかる。
今、日常的にワインを飲む人の数が増加しており、それにより国内のワイン市場は拡大傾向にある。また昨今の「高付加価値商品」ブームの影響もあってか、より質の高いワインを愛飲する人の数も増えているという。特に輸入ワインの市場は年率6%と順調に推移しており、こうした状況を受けてアサヒビールは、エノテカが持つ中・高級ワインを品揃えに加えることで、増加している消費者を取り込みたい考えだ。またそれと同時に、エノテカの持つ優良顧客も同時に取り込んでいきたいとしている。
14年12月期連結決算では、大手ビールメーカー3社のなかで頭一つ抜きん出た印象のあるアサヒグループホールディングスだが、今回の子会社アサヒビールのエノテカ買収により、ウイスキー、ビールだけでなくワイン事業も大きく伸長させることができるのか?株式取得が完了する予定の3月末以降の動向に注目したい。(編集担当:滝川幸平)