矢野経済研究所がまとめた2013年度のクレジットカードショッピング市場規模(買い物での取扱高ベース)は約42兆円に達し、前年度比108.7%だった。消費者のクレジットカード利用に対する抵抗感が薄れ、利用機会が増加したことが大きい。EC(電子商取引)市場での利用拡大や、カード会社による稼動率向上の取り組みが功を奏して、拡大基調が続いている。
注目すべきは、カード各社が「有料会員」の囲い込みを強めていることだ。2010年に貸金業法が改正され、クレジットカードを使ってのキャッシングについては年収の3分の1を超える借入れがある場合、新規の借入れができなくなった。キャッシング事業の大きな伸びが見込めないこともあり、各社は高額利用者に対する個別優待サービスなどを通して、優良顧客の囲い込みを進めている。自社カードをメインカードにしてもらい、キャッシングというより買い物で、より多くを消費してもらおうとの戦略だ。
近年では、将来の優良顧客の取込みを目的として、新規会員の獲得に力にも入れる動きが目立つ。特に、楽天、AmazonなどECサイトの顧客基盤を持つ流通系や、自動車メーカー系、スイカなど交通系のカード会社が、会員獲得競争の「勝ち組」といえそうだ。
各社にとって「ポイントプログラム」は、会員との関係強化のメインツールとなっている。ほとんどのカード発行会社がポイントプログラムを提供しており、他社ポイントやマイレージとの交換など、差別化競争は激化している。加盟店に対する新決済ソリューションを提供するなど、自社カードをより多く使ってもらうための「付帯サービス」を強化する動きもある。
2020年の東京五輪へ向けて、クレジットカードショッピング取扱高は高い伸びが予想される。商店街や中小企業などを中心に加盟店が広がることや、スマホ決済などキャッシュレス化の浸透で、カード利用への抵抗感はさらに薄れていくだろう。公共料金や大学などの学費納入、寄付金の納付など、「非消費分野」でのカード決済も拡大している。矢野経済研究所では、2018年度のクレジットカードショッピング市場規模を、現在の1.5倍、約63兆円まで成長すると見込む。(編集担当:北条かや)