安倍晋三総理は16日の衆議院本会議で農協改革に関する質問に「農協はあくまで農業者の協同組織であり、農業者のメリットの拡大が最優先されるよう、農協の理事の過半数を認定農業者にするなど農協システム全体について見直しを行う」と改めて改革に意欲を示した。維新の党の江田憲司代表の質問に答えた。
安倍総理は「農業の可能性を引き出すため、農業者と地域農協が主役になった改革を行う」とし「信用事業を行う農協については金融庁の監督下にあるが、今回、他の金融機関と同様に公認会計士による監査を義務付ける」と述べた。
また「同じ地域に複数の農協を設立することは平成13年の農協法改正により可能になっており、これまでの申請はすべて認可されている」とした。
また農業への企業の参入については「平成21年のリースの解禁で株式会社のままでも自由に農業に参入することができ、農地集積バンクとの組み合わせによって、さらに効率的に農業経営を展開できるようになっている」と答弁。
農業委員会については「委員の公選制を市町村長の選任制に改め、農業者以外の中立な立場で公正に判断できるものを必ず選任する」と答え、農業委員会にもメスを入れる考えを示した。
この日の質問で江田代表は「地域の農協の創意工夫が重要と言うなら、同じ地域に第二農協、第三農協の設立を促し、競争させた方がはるかに効果的。あえてよそ者を入れる、異業種連携・融合から新しい知恵は生まれてくるのですから、農業生産法人の要件緩和はもちろんのこと、株式会社にも農地所有を認める。お年寄りや若者も、最近は地方に行って農業をしたいという人も増えているのですから、どんどん受け入れる。これは農家の担い手不足解消にもなる」と提起し「そのためには、地の人で固めて、よそ者を入れたがらない農業委員会の改組も必要。農業委員会は別名・転用委員会とも言われ、その転用期待が農地の集約・大規模化が進まない阻害要因にもなっている。いわば平成の農地解放を断行すべきと考えますが、総理の見解は」などと質した。(編集担当:森高龍二)