大手鋼鉄メーカーの新日鉄住金<5401>は3日、北九州市の八幡製鉄所の小倉第2高炉を2018年度末をめどに休止するなどの内容を盛り込んだ、15年度からの3年間の中期経営計画を発表した。八幡製鉄所の小倉第2高炉の休止などにより、国内に分散している製造拠点の生産能力を有効活用し、生産効率を高めて競争力を強化したい考えだ。そして生産体制の見直しなどにより、収益力の向上をはかる。
今回、18年度末での休止が発表された八幡製鉄所の小倉第2高炉は、旧住友金属工業の製鉄所で、鉄鉱石とコークスから鋼材のもととなる鉄を作る製鉄所の主力設備であり、自動車向けの特殊鋼を生産している。そして小倉第2高炉1基あたりの13年度の粗鋼生産量は124万トンであり、新日鉄住金が持つ14基の高炉の中で最も規模が小さい。この小倉第2高炉を休止することで、想定していた約400億円の更新費を削減できるだけでなく、戸畑にある高炉の生産量を1割上げることができるなど稼働率の向上をはかることもできる。小倉第2高炉の稼働に関わっている社員約190人の雇用については、配置転換などにより対応するとのこと。
新日鉄住金はすでにコスト削減や生産効率を高める目的で、15年度末をめどに主力の高炉である千葉県の君津製鉄所の高炉1基を休止させ、2基体制にするとの決定も行っている。
また新日鉄住金の中期経営計画のなかで、14年に名古屋製鉄所で爆発事故などのトラブルが相次いだことを受けて、老朽設備の更新費など国内の設備投資を年1000億円増やし年4500億円に引き上げるとしている。そのほか、採用も年600人増やし年1300人することや、売上高経常利益率を14年度の7.3%から17年度には10%以上にすること、そして生産体制の見直しなどにより年1500億円以上のコスト削減を実現させるなどの内容が盛り込まれている。
新日鉄住金は12年10月の経営統合以来、旧新日本製鉄の八幡製鉄所と旧住友金属工業の小倉製鉄所の一体運営を進めてきたが、今回の小倉第2高炉の休止により、これまで以上に事業の効率化をはかりたい考えだ。(編集担当:滝川幸平)