東京電力は8日までに福島第一原発に関する情報公開の在り方について「周辺環境に直接影響を及ぼす水やダストに関する全ての放射線データを公開することを原則とする」「国内外の専門家がチェックする」仕組みへ基本方針を切り替えると発表した。新たな情報公開の具体的仕組みや方策をとりまとめ、30日の原子力改革監視委員会に報告し、公表する。
原子力改革監視委員会が、さきの排水路に関する情報公開の対応を問題視し「東京電力の体質は未だ変わっていない(とか)情報公開に関する組織の判断力がないとの不信を国内外からもたれる結果となった」と警鐘を鳴らし、「今後はデータの意味するところが十分説明できない場合であったとしても、周辺環境に直接影響を及ぼす全ての放射線データ(放射線レベルに係わらず)の速やかな公開を原則とするとともに、社外による監視・評価を強化するなど情報公開のあり方を抜本的に変革する必要がある」と提言した。
東電がこれを受けて取締役会で公開に対する基本方針を見直すことを決めた。原子力改革監視委員会は東電に対し「経営幹部に漁業関係者、政府、地元自治体、IAEA、社員等、様々なステークホルダーに直接会い(事案が発生した場合)調査を開始したこと、調査終了後は調査の結果、対策を説明すること。特に労働組合・社員に対する説明は重要」と自覚と適切な対応を求めている。
東電は福島第一原発2号機の原子炉建屋屋上に高濃度の汚染水が溜まっていたことや、多雨時に排水路の排水口で放射性物質の濃度が上がるのを約1年近く前からわかっていながら『原因調査の結果がでてから公表する考えだった』などと公表してこなかった。しかも高濃度の汚染水の一部は雨どいなどを伝って排水路から外洋に流出していた。地元漁協も「裏切られた」と不信感を抱く。
こうしたことから、東電は信頼を取り戻すためにも、放射線レベルに関係なく、データの意味が十分説明できない場合でも、例外なく、周辺環境に直接影響を及ぼす全ての放射線データは迅速に100%公表することを責務と考え、取り組むことが求められている。(編集担当:森高龍二)