4人に3人が「世間の節電ムードの希薄化」を実感

2015年03月12日 09:12

 生活者の節電行動が、電力不足が課題となった東日本大震災を契機に高まっている。しかし、東日本大震災から年を経るにつれ、節電意識の低下が危惧されている。このままでは、生活者の節電行動は震災前の水準まで回帰する可能性があり、生活者に節電を伝える新たな手立てやメッセージの検討が急務であるという。

 みずほ情報総研は、2014年10月20日月曜日~10月23日木曜日の期間、東京電力管内の20歳以上の男女(約1,000名)を対象に「節電に対する生活者の行動・意識に関する調査」を実施し、東日本大震災以降の生活者の節電行動の実態について、調査結果をレポートとしてまとめた。

 今回の調査では、生活者の節電行動の実態を把握することに加え、節電行動の継続や向上を促す方策検討に資するよう、「社会の節電状況・ムードへの意識」、「夏季の電気代」などの設問を追加し、調査を実施した。

 それによると、4人に3人が「世間の節電ムードの希薄化」を実感しているということがわかった。「世間の節電意識は薄れつつある」と答えた人は77%、「電力不足は深刻な状況」であると考えている人は、震災直後の91%(2011年6月実施調査)から、69%まで減少している。

 生活者の節電行動について、エアコンと照明は震災前よりも高い水準を維持しているものの減少傾向にある。さらに、冷蔵庫とテレビに対する節電行動は、震災前水準まで下落している。また、電気代を知っている人は、知らない人と比較し、約10~25%程度、節電行動率が高いということがわかった。

 今回の調査から、「電力のための節電」という社会的意義による行動の動機づけは弱くなってきていると考えられる。そのため、今後は、生活者自身の日々の暮らし方や価値観に沿った形で、節電行動を促す必要があるのではないかと同調査では提言している。

 例えば、電気代を知っているか否かで行動率に違いがあったが、電気代を知らない人は経済性を重視しない人であるとも考えられるという。そのため、電気代を知らせるという経済性の観点からだけではなく、それ以外の観点からも促す方策が必要だとしている。(編集担当:慶尾六郎)