【今週の展望】環境がいいSQ後週だが株価水準が高すぎる

2015年03月15日 20:18

 東証の「投資主体別株式売買動向」によると、3月6日時点で海外投資家は4週連続で買い越し、個人は7週連続で売り越しで、年金資金もバックにつく「信託銀行」は9週ぶりに売り越しに転じた。しかし売越額は33億円で、それ以前の買越額より1ケタも2ケタも少ない。また、3月に入って個人の信用取引が買い越しに転じ、信用買い残、信用倍率が8週ぶりに上昇に転じるなど信用の需給に少し変化が見られるが、裁定買い残は7週連続で増加しており、需給改善の大勢に大きな変化はないと言っていい。

 それにメジャーSQ通過による需給改善が加わるが、それにしても前週末の株価水準は高すぎる。13日の日経平均終値19254.25円のテクニカルポジションを確認しておくと、25日移動平均線の18457円との乖離率は4.32%で、5日移動平均線の18884円すら370円も下にある。日足一目均衡表の「雲」は17311~17407円で、今週はその上限が17503円まで上昇するが、それでも1751円も下。もくもくとわき上がって雲の上限が18000円を突破するのは4月1日まで待たねばならない。ボリンジャーバンドでは25日線+1σの18904円と+2σの19352円の間にある。13日のザラ場高値でも+2σは抜けられず、終値では98円あいていた。

 騰落レシオは137.37で130をオーバーし、直近ピークの2月26日の141.42に迫った。14日RSI(相対力指数)は73.40%で70%をオーバーし、ストキャスティクス(9日・Fast)は77.73で70をオーバー。これらの指標は全て「買われすぎ」ゾーンを示す。

 株式市場で「もし、あの時」は禁句かもしれないが、もし13日終値が19000円そこそこの水準だったら、ずっと高値圏で推移したことでテクニカル面の「買われすぎ」の度合いが緩和されて上値追いの余地も生じていたはず。しかし19000円から254円も高ければほとんど余裕はなくなった。13日は株価指数だけでなく個別株も332銘柄が昨年来高値を更新し、上場来高値も64銘柄がマークしている。最近の上昇相場では「出遅れ銘柄物色」と盛んに言われたが、もはや業績や需給に問題がなく投資妙味十分な割安株は、『会社四季報』『日経会社情報』の春号を片手に新興市場や地方単独上場銘柄までくまなく探しても、見つけにくくなっている。

 株価水準が高すぎるから、シーズンを迎えた権利取りも配当利回りなどのうま味が小さくなり、買いにくい。値上がり益を狙うためだけでなく、有利な権利取りのための押し目待ちもありうる状況。さすがの年金資金もメリハリなく無造作に買い続ける紳士ではないだろう。日銀砲の発射は前場がマイナスの日だけ。前週まで先物の「踏み上げ」で上昇相場を助けた海外投資家も、SQ週でエネルギーを消耗したり、あるいは区切りをつけているかもしれない。今週、高値取りを演じられる買い手はどこにいる?

 この期に及んでも「この調子ならあと3日で2万円」などと願文を唱えている人がいるが、日経新聞が太鼓をたたいた「御三家も大暴れ・ファナック<6954>祭り」にマーケットが踊らされた13日は、狂い咲きの「異常値」だったと考えたい。だから今週の上値はその異常値である。一方、下値のほうは、いくら需給が好転し過去のデータが良い好環境のSQ後週でも、権利取りの渡り鳥が舞い降りるシーズンでも、13日の株価水準が高すぎたために決算対策売りやその他の不確定要因に押されて19000円台を守れず、2月3日以来、一度も割り込んでいない25日移動平均線(18457円)が防衛ラインとみる。

 今週最大の不確定要因は17~18日のFOMCと16~17日の日銀会合という中央銀行イベント。前週あたりからNY市場は、FOMC声明文で「patient(辛抱強く)」という文言が外されるかどうかをめぐってまるで神経症の患者(patient)と化しており、不安定な迷走は18日に結果が出るまで続きそうだ。日銀会合は金融政策現状維持という見方が鉄板だが、FRBやECBと協調して細かい微調整を行う可能性もなくはない。どちらも結果待ちの様子見、薄商いのスキを仕掛け売りに狙われることは十分ありうる。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは18450~19250円とみる。現物や買いポジションを持っている投資家にとっては、約15年ぶりの高値圏に祭り上げられた今よりも、2年前の「アベノミクスの青春」の頃のように右肩上がりで上昇した時のほうがずっと幸せだったはず。アイルランドの国民的文学者ウィリアム・バトラー・イェイツはこう言っている。「幸福とは単に成長である。成長している時こそ幸福なのだ」(編集担当:寺尾淳)