70代にさしかかる団塊世代、「生活費得るため生涯現役」も

2014年09月28日 20:05

 少し前まで、多くの人が思い描いていた「60歳で定年」というライフコースが変わりつつある。昨年4月、政府は定年後も、企業が希望した従業員全員を雇用するよう義務付けた。年金の受給開始年齢引き上げに対応し、働ける人には定年後も働いてもらおうとの意図からだ。

 定年後も就労を希望する人は増えている。2012年以降、高度経済成長を支えた団塊の世代が65歳に達し始めたが、内閣府が団塊世代を対象に行なった調査では、「働けるうちはいつまでも働きたい」が最も高く25.1%、次いで「70歳まで」(21.3%)、「65歳まで」(16.1%)となっている。一部の高齢者の間では、「生涯現役」という言葉が現実のものとなりつつあるのかもしれない。

 調査は内閣府が2012年、全国に住む団塊世代の男女6000人を対象に、郵送法で実施。3517人から回答があった。「現在、生活上で重視していること」を尋ねた結果では、「仕事・事業をしたい」が最も高く42.5%を占め、「趣味や勉強に取り組みたい」は21.5%、「家族との交流を大切にしたい」は15.2%、「のんびりと過ごしたい」はわずか7.7%だった。「5年後」については「のんびりと過ごしたい」が4割を占めているが、少なくない数の団塊世代が、定年後も働きたいと考えている。

 日経新聞は今月23日、総務省の労働力調査から、2014年4~6月の共働きシニア(農林業を除く)が前年同期比11.9%増の66万世帯となり、過去最高を記録したと報じた。働くシニア女性が増加し、労働力率を押し上げている。

 背景には、経済的な不安もある。先の65歳以上を迎えた団塊世代への調査では、「現在仕事をしている理由(3つまで回答)」として、「生活費を得るため」(55.4%)が群を抜いて多く、次いで「生活費の不足を補うため」(32.6%)、「健康維持のため」(32.3%)、「将来に備えて蓄えを増やすため」(29.6%)と、ほとんどが、生きがいというよりは「経済的な理由」だ。働くシニアは今後も増え続ける。彼・彼女らが、社会経済にどのような影響を与えるのか、注目が集まる。(編集担当:北条かや)