ニッカ「竹鶴17年」アワード獲得。しかし、14年前ニッカは世界一の栄冠を獲得していた

2015年03月20日 21:25

Nikka Taketsuru_17

NHK連続テレビ小説「マッサン」こと竹鶴政孝氏が創業したニッカウヰスキー、その竹鶴の姓を冠した「竹鶴17年ピュアモルト」がWWAワールド・ベスト・ブレンデッド・モルトウイスキー」を受賞した

 ニッカウヰスキーの創業者で“日本のウイスキーの父”と称される竹鶴政孝氏をモデルにしたNHKテレビ朝のテレビ小説「マッサン」が間もなく最終回をむかえる。このドラマが始まった昨秋から、ニッカウヰスキーの売上が急伸。ニッカだけではなく、日本のウイスキー大手サントリーのウイスキーも売れすぎ店頭で品薄となっている。

 ところで、国産ウイスキー製造会社であるニッカウヰスキーの製品は、すでに14年も前から国際的に高い評価を得ていたのをご存じだろうか。

 2001年、英国のウイスキー専門誌「Whisky Magazine」が初めて開催したウイスキーコンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード」(WWA)でニッカウヰスキーの「シングルカスク余市10年」が、世界の有名ウイスキーを押さえて、いきなり最初の「ベスト・オブ・ベスト」に選定された。

 初めて国産ウイスキーが国際的なコンテストでトップの栄冠を獲得したのである。以降、ジャパニーズ・ウイスキーはさまざまなコンテストでノミネートされ、優秀な成績を収めるようになった。世界のウイスキー評論家がブラインド・テイスティング・テストで「シングルカスク余市10年」を選んだ2001年の「ベスト・オブ・ベスト」が無ければ、日本のウイスキーがこれほど注目されたかどうか……。

 当時、日本は不況のどん底に喘いでいた。「ベスト・オブ・ベスト」受賞のニュースを知った当時の小泉首相は、「日本のウイスキーが世界一になった。日本の製造業には素晴らしい技術がある」と産業界を鼓舞する発言で話題になった。しかし、その受賞のニュースを含め、「小泉コメント」も国内大手メディアは報道しなかった。理由は、過日筆者が記した記事“ドラマ「マッサン」は在京民放では制作できない”理由と同じだ。

 そして今年、2015年3月20日、ニッカウヰスキーの創業者の姓を冠した「竹鶴17年ピュアモルト」が、ウイスキーの国際的コンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード2015」(WWA)において、「ワールド・ベスト・ブレンデッド・モルトウイスキー」を受賞し、“世界最高賞”のブレンデッド・モルトウイスキー(ピュアモルトウイスキー)として認定された。

 「竹鶴17年ピュアモルト」は、深みのある香りで、凛としたボディ感と爽やかな余韻が特徴。余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所でつくったさまざまなタイプの原酒をバランスよく組みあわせ、長期熟成することで生まれるリッチな樽熟成香と長く持続する豊かで重厚感あふれるアフターノートが楽しめる。

 「竹鶴17年ピュアモルト」の評価のポイントはバランスのとれた味わいで、審査員からは「スモーキーでありながら甘みを感じさせるバランスのとれた味わいが絶妙だ」というコメントがあったという。

 ニッカブランドの輸出は2006年10月から欧州市場へ向けて本格化した。フランスを中心に欧州全域に販売網をもっている有力ウイスキー商社「ラ・メゾン・ド・ウイスキー」とアサヒビールが直接販売契約を結び、同社販売網を介して欧州とその周辺国への輸出・販売を行ってきた。2012年12月からアメリカに輸出開始、2013年5月からオーストラリアに輸出を開始し、販路を拡大。近年、ニッカウヰスキーはプレミアムジャパニーズウイスキーとして注目され、高く評価されるようになった。2014年の海外でのニッカブランドの販売数量は10万箱(前年比132%)と好調に推移、2015年は11万箱(前年比111%)を目標としている。

 ウイスキーの製造は、NHK朝ドラで主人公エリの夫・マッサンが何度も語っていたように、「数年以上という時間がウイスキーを育てる」のだ。一般的に高級なウイスキーほど熟成年数は長くなる。だから出荷量(生産量)を急に増やすことは出来ない。「竹鶴17年ピュアモルト」も17年以上という熟成庫での眠りから醒めて初めて国際的に評価された。(編集担当:吉田恒)