花王の紙おむつ「メリーズ」人気が中国で過熱

2015年03月22日 12:59

 花王<4452>の紙おむつ「メリーズ」がアジアで人気を集めている。特に中国での人気が過熱している。中国の紙おむつ市場では、米P&Gやユニ・チャーム〈8113〉が先行していたが、花王は2009年からメリーズの輸出を開始、13年からは現地生産も始め、急速に追い上げている。

 メリーズ人気の理由は、「モレない・ムレない」のキャッチコピーの通り、その高い通気性と柔らかさによって、「赤ちゃんの肌に優しい」と高く評価されているからだ。例えば14年8月に新発売された「メリーズパンツ さらさらエアスルー」。Mサイズには、パンツの内側に「ふんわりエアリーメッシュシート」が採用されている。花王では、ふわふわの凹凸加工により、点と点で肌に触れ空気が通り抜けるため、これまでの商品よりもおよそ3倍の通気性が期待できるとしている。

 中国では、中国製の安全性に対する信頼が揺らぐ中で、「日本製は安心」というイメージが定着し、メリーズ人気が加速している。同国では富裕層の間でその需要が拡大し、昨年半ばごろから、メリーズの品薄が常態化している。そのため、倍以上の値段で取引されるという状況にもなった。

 中国人ブローカーが日本国内でメリーズを買い占め、中国に持ち込んで高値で売るという事態にまで至った。昨年10月には、兵庫県警が、中国籍の男3人がメリーズを買い占める仕事に従事していたとして、出入国管理法違反(資格外活動)の容疑で逮捕した。3人は調理師の在留資格で入国しながら、神戸、明石、姫路各市のドラッグストアでメリーズなどの紙おむつを買い占めていた。兵庫県警によると、3人は延べ270店から、メリーズを中心とした紙おむつ990パックを購入していた。

 メリーズは、中国のほか、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなどで販売され、高い評価を得ている。14年にはベトナムでの販売も開始、さらに同年には、西ジャワ州のカラワン工業団地にインドネシアの第二工場を新設し、メリーズの生産を開始している。アジアにおける日本製紙おむつの販売は、今後さらに拡大していきそうだ。(編集担当:久保田雄城)