スバルのモータースポーツ統括会社「STI」が本格的に北米市場を目指す

2015年04月05日 20:48

STI Performance

スバルBRZをベースにSTIのスポーツ要素を詰め込んだコンセプトモデル。STIを本格的に北米市場に訴求する

 富士重工業が、米国ニューヨークにて開催中の「2015 年ニューヨーク国際自動車ショー」において、「STI Performance Concept」を世界初公開した。この「STI Performance Concept」は、富士重工業のモータースポーツ統括会社であるスバルテクニカインターナショナル株式会社(通称:STI)が今後の米国での事業拡大に向けて、その主要事業内容であるスバル製スポーツモデルのパーツビジネス、コンプリートカービジネス、モータースポーツ活動を表現したコンセプトカーだ。

 STIブランドは、1990年代のWRC(世界ラリー選手権)におけるスバル・インプレッサの活躍で日本のみならず欧州においてもモータースポーツファンを中心に認知度は高い。ただ近年、スバル車は独自の水平対向(ボクサー)エンジンとシンメトリーなAWD(All Wheel Drive)レイアウトで全天候型・快速プレミアムカーとして北米で認知されてきたが、北米ユーザーにとってスバル車とモータースポーツの関連性は希薄だ。

 そこで今回のコンセプトモデルは、STIのスポーツ性を知って貰うことと、STI製サスペンション、ブレーキ、内外装部品などを含めて1台のコンセプトカーとして提示することで、スバル車のSTIによるスポーティ・チューンのためのパーツビジネスとSTIコンプリートカービジネスを具現化し、米国のエンドユーザーにアピールすることが目的のようだ。

 また、エンジンにはスーパーGTレース用のEJ20型2リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載することで、そのモータースポーツ活動を表現した。

 富士重工業は昨年5月に、新中期経営ビジョンのキャッチフレーズ「際立とう2020」を発表した。この「際立とう2020」で指標としたのは、富士重工業の持続的成長を目指して、2020 年における富士重の姿を「大きくはないが強い特徴を持ち質の高い企業」とした。その実現に向け「スバルブランドを磨く」「強い事業構造を創る」の2 つの活動に集中し、付加価値経営を更に進め、環境変化への耐性を高めることに取り組むことを宣言した。

 その「強い事業構造を創る」取り組みのひとつである商品戦略において、STI ブランドの活用拡大を掲げており、今回の「STI Performance Concept」出展はその端緒となる。

 具体的には、スバルブランドの最大市場である米国において、STI 製パーツの販売を拡大するとともに、それらを搭載したコンプリートカーの展開も行なうようだ。さらに米国でのモータースポーツ活動においては、スバル・オブ・アメリカのグローバル・ラリークロス・チームへのSTIからのサポートを強化していく。

 富士重の旗艦車種であるレガシィは既に北米向けのモデルとして完全にマーケットにフィットしたモデルになった。今後、こうした北米を向いた新型車を開発するなかでSTIのスポーツマインドを搭載した車両の投入が増えるコトになりそうだ。(編集担当:吉田恒)