水平対向ボクサーエンジン生産累計1500万基を達成した富士重工業

2015年02月19日 08:28

Subaru1000

富士重製の水平対向(フラット4ボクサー)エンジンを初搭載した1966年春にデビューした「スバル1000」。画期的なエンジンと前輪駆動を組み合わせヒット作となったモデルだ。

 SUBARUブランドのクルマを愛好し「スバリスト」と呼ばれるマニアックなファンが多い富士重工業のクルマ。その理由のひとつは、1966年に同社が新開発した水冷水平対向4気筒アルミエンジンにあるとされる。そのボクサーエンジンは、1966年5月に小型乗用車「スバル1000」に初めて搭載し、脚光を浴びた。その後、フラット4「ボクサーエンジン」と呼ばれる同社の水平対向エンジンは、現在まで連綿と生産が続けられ、発売から49年目の今期、水平対向エンジン累計生産台数1500万基を達成した。

 水平対向(ボクサー)エンジンは、ピストンが左右に向き合う形で配置され、対向するピストンが互いに慣性力を打ち消し合うため、低振動で回転バランスに優れ、高回転域まで滑らかに吹き上がるフィーリングを得られる。またエンジン全高が低く、クルマ全体の低重心化にも貢献する。そのため高い走行安定性や素直で軽快なハンドリング性能にも寄与する。スバルは、この水平対向エンジンの特性にこだわり、長年にわたって独自に提案し続け、現在に至るまで改良を重ね、さまざまなモデルへ展開してきた。

 世界的に概観しても、水平対向エンジンを量産しているのは、この富士重工業とドイツのスポーツカーメーカー、ポルシェだけである。水平対向エンジンの量産継続は、潤滑や燃費改善などに難しさがあり、今や世界ナンバーワンのトヨタですら一度しか生産したことがない。現在では富士重からOEM供給を受けて「トヨタ86」に搭載している。

 スバルのボクサーエンジンは、シンメトリカルAWD(All Wheel Drive)と組み合わせることで非常に高い運動性能を発揮した。そのシンメトリカルAWDの生産累計台数も、1972年9月に発売した「スバル レオーネ4WDエステートバン」へ初搭載して以降、2015年1月で1400万台を達成している。シンメトリカルAWDは、AWDが本来持つ優れた走行安定性や走破性に加え、縦置きに配置した水平対向エンジンを核とした左右対称のパワートレーンがもたらす重量バランスの良さとの相乗効果によって、安定した高速走行と俊敏なコーナリング特性を実現、スバルの安全思想と走る愉しさを支える中核の技術となったのだった。

 富士重工業のフラット4ボクサーエンジンとシンメトリカルAWDは、対となってスバリストたちに魅力ある確かなクルマを提供してきたのだ。(編集担当:吉田恒)