トヨタ、高効率ガソリンエンジン第2弾、1.2リッターターボを新型オーリスに搭載

2015年04月07日 07:38

8NR-FTS

1.2リッター4気筒直噴ターボエンジンを新開発し、マイナーチェンジしたオーリス120Tに搭載した

 トヨタ自動車は、化石燃料の消費抑制のため、ハイブリッド車だけでなく販売車両の多数を占める従来型ガソリンエンジン車の燃費向上にも取り組んでいる。昨年、それら高熱効率低燃費エンジン群の概要を発表し、2015年に発売する車両に順次搭載するとしていた。

 今回、具体的な新エンジンの第2弾として、高いエンジン熱効率と力強い加速をもたらす高いパワー&トルクを実現したダウンサイジングコンセプトの1.2リッター直噴ターボエンジン「8NR-FTS」を発表した。「8NR-FTS」は、トヨタがエンジン開発で培った技術に、ターボ過給技術を追加して開発した世界トップレベルの高熱効率の過給エンジンである。まず、マイナーチェンジしたオーリスに搭載する。

 新型ターボエンジンは、排気ガス温度を最適にする水冷シリンダーヘッド一体型排気システムとシングルターボを組み合わせて優れた過給効率を実現。コンパクトな水冷式インタークーラーの採用で、運転状況に応じた吸気冷却効果を発揮する。これにより、アクセル操作に対する素早いレスポンスと、幅広い回転域で最大トルクの発生を実現した。

 また、トヨタが誇る先進の直噴技術“D-4T”が理想的な混合気を形成し、高効率の高速燃焼を実現。さらに、負荷に応じバルブ開閉タイミングを制御する連続可変バルブタイミング機構VVT-iW(吸気側)によってアトキンソンサイクル化したことで、燃焼改善と損失改善を追求した。結果、量産過給ガソリンエンジンとしては、世界トップレベルの最大熱効率36%を達成したという。

 同時に発表された新型オーリスは、今回のマイナーチェンジで前述の1.2リッター新型エンジンを最上級グレード「120T」に搭載。高い走行性能と環境性能の両立を実現した。搭載エンジンは、最高出力116ps(85kW)/5200~5600rpm、最大トルク18.9kg.m(185Nm)を1500~4000rpmの幅広い回転域で発生させ2リッタークラスに匹敵する性能を持つ。また、ターボエンジンの特性を引き出すために、新制御を組み込んだトランスミッション「Super CVT-i」との組み合わせで、レスポンスのいい滑らかで爽快な走りを実現したという。

 このエンジンを積む新グレード「120T」の走行燃費はJC08モードで、19.4km/リッターを実現し、「平成27年度燃費基準+10%」を達成。「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」の認定取得とあわせ、「エコカー減税」の対象車となった。

 また、レーザーレーダーとカメラを組み合わせ、異なる2つのセンサーで高い認識性能と信頼性を両立し、多面的な安全運転支援を可能にした衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」を1.2リッターターボ車、1.8リッター車に標準装備する。

 「Toyota Safety Sense C」は、レーザーレーダーとカメラを用いて前方の障害物を検知し、衝突の危険がある場合、まずドライバーにブザーとディスプレイ表示で警報を出すことでブレーキを踏むように促す。仮にブレーキを踏まなかった場合でも、停止車両に対し自車の時速が30km/hの場合は、自動ブレーキにより約30km/hの減速を行ない衝突を回避。自動ブレーキは約10~80km/hの幅広い速度域で作動し、実際に発生している追突事故の80%以上に対応するという。

 同時にカメラによって走行車線の白線や黄線を認識し、車線逸脱の可能性を検知した場合に、ブザーとディスプレイ表示でドライバーに警報を出すことで、車線逸脱による衝突事故の回避を支援するレーンディパーチャーアラートも「Toyota Safety Sense C」に組み込まれている。

 また、カメラによって対向車のヘッドランプ、または先行車のテールランプを検知し、ハイビームとロービームを自動で切り替えるオートマチックハイビームをも装備することで、他の車両のドライバーの眩惑を低減するとともに、夜間の前方視界確保をサポートする。
 
 この新エンジンを搭載し安全装備が充実した新型オーリス120Tの価格は259万0037円。(編集担当:吉田恒)