大丸、松坂屋などの大手百貨店を運営するJ・フロントリテイリング<3086>は17日、ベルメゾンなどの通信販売を運営する千趣会の株式を取得し、資本業務提携するとともに同社を持ち分適用会社とするとの発表を行った。J・フロントリテイリングが千趣会の株式22.6%を取得。これによりJ・フロントリテイリングは千趣会の筆頭株主となる。千趣会の持つ通信販売のビジネスノウハウを活用する以外にも、プライベートブランド(PB)商品の共同開発に取り組むことで販路拡大をはかりたい考えだ。
現在、小売業界各社は今後も成長が見込まれるインターネット通信販売に力を入れている。今回のJ・フロントリテイリングの千趣会との業務提携にも、インターネット通信販売を強化する狙いがある。
J・フロントリテイリングと千趣会は、2014年10月より業務提携に向けて協議を行っていたという。そして今回、資本と業務を提携させることで合意。提携内容の実現をさせるため業務提携推進委員会を設置した。J・フロントリテイリングは30~50歳代の主婦層を中心に約1500万人の会員を持つベルメゾンを運営する千趣会の通信販売のノウハウを取り入れ、インターネット通信販売の分野において販路拡大をはかるほか、両社の持つリソース等を活用することでプライベート商品の開発やコスト削減なども行い、相乗効果を生み出していきたいとしている。
小売業界では、こうした通信販売運営会社との連携が進行している。14年にはセブン&アイ・ホールディングス<3382>が通信販売大手のニッセンホールディングス<8248>を買収することで、同分野の強化をはかっている。そのほか、高島屋<8233>もインターネット通信販売の強化に力を入れている。店頭での販売に苦戦するなか、各社はインターネット通信販売に新たな販路を求めることで利益確保に努めている。
J・フロントリテイリングの14年度のインターネット通信販売の売上高は174億円で、今回の千趣会との業務提携により、16年度にはこれを250億円にまで拡大させたいとの目標を示している。(編集担当:滝川幸平)