これまで日本で低価格商品を中心に販売してきた中国家電大手が、日本で高価格商品を投入する。
美的集団は4月13日、東京都内で高級炊飯器「美的IH式炊飯器MB-FZ4086」の発表会を開催した。IH(電磁誘導加熱)による大火力加熱や熱対流、チタンを含む厚さ3.5mmの内釜などを搭載した高級炊飯器だ。価格は2999人民元。まず、アリババなどのネット販売を開始し、年内にも日本の量販店で発売すると報じられている。
高級炊飯器では、象印マホービン<7965>やタイガー魔法瓶などの日本メーカーが独走していた。中国人観光客がこうした日本製炊飯器を買い漁る光景からは、中国製の遅れが印象づけられる。中国メディアの一財網は、この光景が「中国の製造業が高度化の必要があることを証明する事象だった」と伝える一方、この美的集団の発表会を挙げて、「中国メーカーが日本市場を攻める」と書いた。
「MB-FZ4086」発表会で、同社の生活電器事業部代表取締役社長・李国林(Li Guolin)氏は「今後はもしかすると、中国に来た日本人が美的の炊飯器を買って帰るようになるかもしれない」と語っている。
美的集団は、炊飯器に続いて高品質の洗濯機や冷蔵庫を日本で発売する計画。同社は昨年12月に小米科技(シャオミ)と資本・業務提携し、エアコンなどの家電の共同開発に取り組んでおり、スマート家電の分野でも競争力を高めようとしている。
一方、海信集団(ハイセンス)は今秋にも高画質の「4K」テレビを日本で発売する。40~65型で3種類を投入すると見られている。すでに、ハイセンスは家電量販店チェーンのエディオン〈2730〉と提携し、日本市場に特化した商品戦略を展開している。
同社は今後、東京都内に自社ビルを構え、ショールームも開設し、製品情報を発信していく計画。
これまで低価格戦略を採ってきた中国家電が、いよいよブランド力を強める方針に転換しつつある。高機能商品分野における日本メーカーとの本格的な競争が始まろうとしている。(編集担当:久保田雄城)