自動車、産業機器の省エネ、高効率化に必須。ロームの高品位パワーデバイス

2015年04月16日 12:34

 1958年、世界で初めてIC(Integrated Circuit/集積回路)を開発したのは、米テキサス・インスツルメント社の科学者ジャック・キルビー(Jack Kilby)だったとされる。その年、日本の半導体メーカー「ローム(Rohm)」の前身である東洋電具製作所が京都で設立された。米インテル社が設立される10年以上も前の出来事だ。

 その半導体メーカーのローム事業内容がここ10年で大きく変貌した。先般、アナリストやプレス向けに開催したローム主催のセミナーで発表された市場別販売比率実績に触れておこう。

 2004年、ロームが取り扱う製品の用途の32%は携帯電話やテレビ、DVDプレーヤーなどの国産デジタル家電だった。一方で、自動車や産業機器などに使用されたのは合わせて14%程度(産業機器3%、自動車11%)と売り先としては少数派だった。それが、2014年になると大きく変化する。日系デジタル家電系への納入が8%と激減、かわりに産業機器8%、自動車26%、合計34%と大きな伸びを示す。

 これには日本の産業構造と市場要求の変化に加えて、省エネルギーやCO2排出削減などの国際的社会的要求に応える必要がある産業で、高品質で安定した性能と電力ロスなどを排除したパワー半導体を求める動きが加速したからだ。

 なかでもロームは2010年に、これまでのシリコン(Si)半導体よりも高性能なシリコンカーバイト(SiC)パワー半導体を量産することに成功。より高い電圧に対応し、かつ高温環境にも耐えうる半導体を供給できる体制をつくった。この結果、同社半導体の車載分野では、クルマのエンジンルームに設置するECU(エンジン・コントロール・ユニット)のように高熱に晒され、高電圧負荷がかかる重要なユニットに高品位なパワー半導体が採用されるようになった。今後、こうした車載部品にとって有効なのは前述したSiCパワー半導体で、車載用メガサプライヤーのなかにも製造を目指す動きがあるなか、ロームのこの分野におけるリードは国際的にも大きいといえる。

 こうしたなか、今後ロームは“アナログパワーを中心にコアな技術を組み合わせ”、「パワーマネージメント」と「モーターコントロール」というふたつの分野に注力するという。なかでもモーターコントローラー分野では、「世界の電力消費の5割を占める」とされるモーターの消費電力を削減することを目指す。

 モーターを回したり動かしたりする“ドライバー分野”の大きな市場は、車両搭載部品や電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)駆動用モーターを制御するインテリジェントパワーモジュールなど、将来にわたって限りなく増加する。

 また、パッケージ食品菓子・飲料、家電製品や機械などの市場に供給する消費財の生産現場である製造工場では無数のモーターが稼働している。これらの効率を上げるための半導体技術がロームの身上だ。

 現在、国内で使われているエアコンのほとんどがパワー半導体を搭載したインバーターによって制御する省エネ型エアコンだ。が、欧州などでは、未だインバーターによるエアコン制御は少数派だ。この分野で高効率なSiCパワー半導体を搭載したインバーター搭載エアコンが欧州全域に普及すると電力消費量が劇的に少なくなるはずだ。

 加えて言うなら、モーターなどの制御効率化以前に、“電源を安定的に正しく供給するシステム”も必要だ。ここでも、ロームの半導体が活躍する。例を上げるなら家庭のキッチンに鎮座する冷蔵庫を見てみよう。冷蔵庫の機能には「冷やす」「冷蔵する」「冷凍する」「解凍する」などの機能で食品を保存する。が、そこには、冷蔵庫全体を監視するCPUや冷やすためのコンプレッサー、温度管理をするセンサー、庫内照明などがある。それらには、それぞれに特化した安定した電圧と電流を供給する“電源”が必要だ。そこでの“電源”は、装置そのものの発熱や消耗に直結するキーデバイスなのだ。

 こうした中核をなす装置の部分でロームの最新型半導体技術が欠かせない。今後の省エネ、高効率に欠かせないパワーデバイスを持ったロームに注目が集まる。(編集担当:吉田恒)