岸田文雄外務大臣は28日、国連本部で開かれている核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会で一般討論演説を行い、「原子力の平和的利用は重要」とし「原子力の平和利用イニシアティブに対し向こう5年間で総額2500万ドルの拠出を行う。東電福島第一原発事故を踏まえ、国際的な原子力安全の強化に貢献していく」と演説した。
また核兵器削減へ、その前提となる「核戦力の透明性の確保」を強く求めたほか、世界の政治指導者や若者らの広島や長崎への訪問などを要請した。
この中で岸田外務大臣は「日本は本年8月末に広島で国連軍縮会議や包括的核実験禁止条約賢人会合を開く。11月には長崎でパグウォッシュ会議世界大会を開催する。来年は主要先進国首脳会議の議長国として、サミット及び関係閣僚会合を開催する。日本を訪れる各国の政治指導者にも被爆地に足を延ばしていただきたい」と広島、長崎への来県を呼びかけた。
この日の一般討論演説で、岸田外務大臣は「世界にはいまだ1万6000発を超える核兵器が存在し、核軍縮・不拡散の取組を逆行させるような動きもある。今こそ核軍縮の動きを加速化していく必要がある」と冒頭に訴えた。
そして、核軍縮のために5つの重視すべきことをあげ、「核兵器国には,数値情報を伴う具体的かつ定期的な報告を行うよう求める」と核戦力保持の透明性確保をあげ、2点目に「これまでの米ロの戦略核の削減だけではなく、核兵器を保有するすべての国がすべての核兵器を削減すべき」だと提起した。
また、3点目に「核兵器の非人道的影響の認識を共有し,「核兵器のない世界」に向けて結束すること」。4点目に「核兵器国を含め,政治指導者や若者に広島と長崎を訪れ自らの目で被爆の実相を見ていただきたい」。5点目に「地域の核拡散問題の解決」をめざすことをあげた。(編集担当:森高龍二)