「シーバス」、銀座8丁目で“高級ウイスキー300本”無償試飲のローカル戦略とグローバル・マーケの両刀使い

2015年05月20日 12:34

Chivas Marketing

銀座8丁目の午後6時、まだ明るい銀座にバグパイプの音が鳴り響くと、界隈の銀座プロの女性と待ち合わせる男たちが集まり、盛況裏だったというイベント

 スコッチウイスキーのグローバルブランド「シーバス・リーガル」が、昨年7月に米ニューヨークでカクテルづくりのコンペティション「ザ・シーバス・マスターズ」を初めて開催した。そこに“アメリカ代表”として出場した日本人バーテンダー、漆戸正浩(うるしど・まさひろ)氏が優勝し、初代”シーバス・マスター”の栄冠に輝いた。北米大会を勝ち抜いて優勝した漆戸氏は、ニューヨークのレストラン「Saxon+Parole」に勤務するバーマネージャーだ。

 そして、今年7月に「ザ・シーバス・マスターズ」を昨年と同様にニューヨークで開催する。それに先だって、次世代のクラシックカクテルの探求“Timeless Luxury”をテーマに、イギリスやアメリカ、ドバイ、日本、中国など13の国と地域でローカル大会を開催。それぞれの地域から代表1名を選出する。

 その日本国内最終選考会が先日行なわれ、日本代表の「ザ・シーバス・マスター」は、虎ノ門ヒルズのホテル「アンダーズ東京」の「ルーフトップ・バー」の齋藤隆一氏が選出された。

 審査対象のカクテルは、ウイスキー「シーバス・リーガル」誕生から今日までの時代を4分割してその時代背景や文化を意識した4種のカクテル。いずれもベースには「シーバス・リーガル12年」を使用した。

 昨年、世界大会で漆戸氏が優勝したことで、一躍日本人バーマンのカクテルづくりの技とセンスに注目が集まり、今年の日本代表最終審査には、審査員としてその漆戸氏のほかに「シーバス・リーガル」のグローバル・ブランドアンバサダーのマックス・ワーナー氏が駆け付けた。昨年の世界大会優勝者“日本人バーテンダー・漆戸”を再度アピールしながら、「シーバス・リーガル」をグローバル市場に向けて訴求するマーケティング手法のひとつといえる。

 同じシーバスは、日本それも銀座8丁目だけに限定した“もの凄く小規模な市場戦略”を実施した。小規模なイベントだが、費用対効果は非常に高いと思われる製品プロモーションだ。シーバスの日本限定商品「シーバス・リーガル・ミズナラ」の訴求イベントだ。

 それは「銀座グランドホテル」とコラボレートし、直営レストラン「NORTHERN TERRACE DINER TOKYO(ノーザンテラスダイナートウキョウ)」にて、清々しい5月の銀座8丁目で青空の下の木耀・金曜2日間、日本限定ウイスキー「シーバス・リーガル・ミズナラ」のポップアップバーを展開した。期間中、会場は「シーバス・リーガル・ミズナラ」のイメージカラーであるペイルブルーを基調に店内装飾が施され、来場者へ無料試飲が行なわれ、ミニチュアボトルの進呈なども実施した。

 会場ではスコットランドの民族音楽バグパイプの演奏なども行なわれ、銀座の宵を歩くカップルも立ち寄ってウイスキーを楽しんだ。

 会場となったホテルのラウンジは、バブル経済の頃から“銀座8丁目”界隈の高級クラブのお姉さんたちが“同伴出勤”の待ち合わせ場所に使っていたところで、筆者が訪れた午後6時過ぎのその日、「お酒に慣れた“キレイなお姉さん”たちがかなりの数“カップル”で『シーバス・リーガル・ミズナラ』を愉しんでいた」のが印象的だった。

 おそらくだが、「シーバス」は、こうした銀座8丁目付近の“料飲店のプロの女性たち”にアプローチし、その女性たちとお付き合いする汐留あたりに勤務する“高額所得サラリーマン”をターゲットに今回のイベントを仕掛けたのではなかろうか?

 なお、2日間の入場者は混雑のため入場制限したと言うが、2日間で計3000名・6000杯(大盛りだったので筆者の計算では700ml×500本のボトル相当)の「シーバス・リーガル・ミズナラ」が飲み干され、3000本のミニチュアボトル(50ml×3000本)が持ち去られた。この極めて小さなイベント、銀座8丁目という立地ゆえ、“費用対効果”は低くないと思える。

「シーバス・リーガル・ミズナラ」は、マスターブレンダーのコリン・スコットが、日本のためだけにつくったウイスキー。12年以上熟成のシングルモルトとグレーンを日本人の味覚に合わせて特別にブレンド。最終段階で日本原産のミズナラ樽でマリッジしたことで、甘さと滑らかさを持ったウイスキーとなった。(編集担当:吉田恒)