横畠裕介内閣法制局長官は5日の衆院安保特別委員会で、集団的自衛権に対する憲法解釈の変更は「法定安定性を大きく揺るがすもの」との指摘が前日の衆院憲法審査会で与党側の推薦で参考人として出席した憲法学者の長谷部恭男早大教授からもあったことを民主党の長島昭久議員に質され「これまでの政府の憲法解釈との論理的な整合性は保たれている」とするとともに「法的安定性も保たれている」と反論した。
長島議員は「集団的自衛権の行使は憲法上許されないとした1972年の政府見解を変えることで、法的安定性は担保できるのか」と長谷部教授の4日の参考人意見を踏まえて質した。
横畠法制局長官は「一般に、憲法第9条(戦争の放棄)に関する憲法学者の意見は伝統的に『自衛隊は、憲法第9条2項によって保持が禁じられている戦力に当たり違憲である』とするものが多い。(昨年7月1日の閣議決定は72年の政府見解を維持・前提としたもので)これまでの政府の憲法解釈との論理的な整合性は保たれており、法的安定性も保たれている」と答えた。
長島議員は参考人の1人であった小林節慶応大名誉教授は自衛隊合憲論を唱えているとした上で、法制局長官の説明では納得できないと今後も追及する構えを示した。
また、安倍晋三総理は海外での集団的自衛権の行使はホルムズ海峡の機雷掃海に限られるのかとの質問に「南シナ海での掃海を想定しない」「例外はホルムズ海峡のみ」と答弁したが、法理的にはホルムズ海峡に限られるものでないことも確か。(編集担当:森高龍二)