太陽光発電は、再生可能エネルギーとして普及・拡大が期待される一方、天候等による影響を受けやすい発電方式。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の見直しに伴い、太陽光発電システムの導入前にどの程度の発電量が期待できるのかを把握する必要性が一層高まっている。特にメガソーラー建設の事業採算性や事業実施リスクなどを評価するにあたっては、毎年平均的に期待される発電量だけでなく、年によってどの程度発電量が変動するかを把握することが非常に重要だという。
これを受け、一般財団法人日本気象協会の環境・エネルギー事業部では、太陽エネルギー事業において提供中の「太陽光発電量の経年変動解析サービス」を拡充し、2014年までの最新データを用いたサービスを開始した。
同協会では環境・エネルギー事業部が主体となり、2013年4月から「太陽光発電量の経年変動解析サービス」を提供してきた。今回新たに2011年から2014年までの4年分の解析データを加えることにより、近年の日射量の特性を踏まえた事業採算性やリスクの評価が可能となる。
このサービスでは過去30年間(1985年から2014年まで)の日射量データを用いて、メガソーラー建設予定地点の太陽光発電量変動を解析し、報告書として提供。日射量と発電量の30年間平均値、最大値・最小値、標準偏差、出現頻度、超過確率など、リスク評価に不可欠な各種統計情報を把握することができる。
具体的には30年間の月ごと、年ごとの日射量・発電量のグラフより、対象地点での日射量(発電量)の年単位・月単位の変動を視覚的に把握できる。また、30年平均値、最大値・最小値、標準偏差のグラフおよびデータより、対象地点での年変動の傾向を定量的に把握することができる。過去30年間における最大値・最小値、標準偏差は太陽光発電事業の長期的な採算性の評価を行う上で重要な指標となる。
また、一定の日射量(発電量)以上となる確率を超過確率というが、超過確率を用いると、どの程度の確率で一定以上(以下)の日射量(発電量)となるのかがわかる。例えば20年に1回の低日射の年がどの程度の日射量になるのかを把握することができる。
さらに、30年間の日射量(発電量)データから推定した月ごとの階級別出現頻度の解析結果より、対象地点で出現頻度が多い日射量(発電量)の値の範囲を把握することができる。(編集担当:慶尾六郎)