電力小売り自由化に向け参入企業相次ぐPPS 企業数は1年で3倍に

2015年06月04日 08:43

 東日本大震災以降、再生可能エネルギーの注目度が高まり、「新電力会社(PPS)」事業への新規参入が相次いでいる。特に、2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が開始され、全国的に太陽光発電所が急拡大した背景がある。さらに、2016年4 月とされる電力小売りの全面自由化を見据えて新規参入を狙う企業が増えており、電力小売り事業の参入に必要な「特定規模電気事業者」への届け出件数が急増している。

 これを受け、帝国データバンクは、経済産業省・資源エネルギー庁管轄の「特定規模電気事業者」に登録の654 社(4月30日現在)について、自社データベースである企業概要ファイル「COSMOS2」(146万社収録)などをもとに、都道府県別、設立時期、業種別、年売上高別、上場区分別に集計・分析した。同様の調査は2014年 5月8日に続き2回目となる。

 4月30日時点で経済産業省に届け出があるPPSは654社。これらの本社所在地を都道府県別に見ると、「東京都」(219社、構成比33.5%)が最多となった。2位は「愛知県」で 44社(構成比6.7%)。3位は「大阪府」で41社(同 6.3%)、4位は「福岡県」で 32社(同4.9%)、5位は「北海道」が30社(同 4.6%)と続いた。全国的に参入が広がっており、新電力会社は「宮城県」「島根県」を除く 45都道府県にある。

 なお、14年4月25日時点で「特定規模電気事業者」への登録社数は206社となっていたが、その後の約1年間で3倍に急増していることが判明した。また、就職に関するイベント・セミナーの市場規模は前年度比123.8%の104億円と予測している。市場は就職情報サイトの関連分野と位置づけられる。就職情報サイト市場に活況に伴い、拡大基調を予測する。

 654 社のうち設立時期が確認できた650社を見ると、2010年までに設立された企業が435社(構成比66.9%)となり、全体の6割強を占めた。東日本大震災を契機に、再生可能エネルギーの導入機運が高まり、新規参入が増加。2012 年7月に施行されたFITによって太陽光発電事業の市場が拡大し、近年では 2014 年(58 社、構成比 8.9%)が最多となったとしている。その後も、16年 4 月に控えた電力小売りの全面自由化に向けて参入企業が増加しており、2015 年はすでに28社(同4.3%)設立されている。

 654社を業種別に見ると、「卸売業」(139社、構成比21.3%)がトップとなった。次いで、「建設業」(97社、同14.8%)、「小売業」(85社、同13.0%)となった。このうち、電気事業者以外の業種を見ると、「電気機械器具卸売」(54社、同8.3%)、「家庭用機械器具小売」(35社、同5.4%)、「石油卸」(27社、同4.1%)、「電気工事」(26社、同4.0%)、「燃料小売」(24社、同3.7%)などが上位を占めているとしている。(編集担当:慶尾六郎)