味の素が膵臓(すいぞう)がんのリスクスクリーニング検査を開始 早期発見にも対応

2015年06月19日 07:13

 膵臓がんの患者数はここ30年間で3.8倍と大幅に増加しているという。膵臓がんは早期発見が難しく、約6割が手術不能な進行がんの段階で発見されることから、5年生存率が7%と低く難治がんと言われている。しかし、手術が可能な早期がんの段階で見つかることで、進行がんの段階で発見される場合と比べ長い延命や治癒が期待できる。

 味の素<2802>は、臨床検査会社のエスアールエル(SRL社」)と共同で、8月より、早期発見にも対応した膵臓がんのリスクスクリーニング検査を開始すると発表した。

 味の素とSRL社は、共同で血中アミノ酸濃度バランスの変化を解析・指標化し、健康状態や疾病リスクを明らかにする「アミノインデックス技術」を用いたがんのリスクスクリーニング検査「アミノインデックスがんリスクスクリーニング」(AICS)、を2011年4月より予防医療領域で展開している。全国の人間ドックを中心に、2015年5月末現在で940の医療機関に導入されている。

 AICSでは1回の採血(5ml)で胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん(男性のみ)、乳がん(女性のみ)、子宮・卵巣がん(女性のみ)の6種のリスクスクリーニングを行っている。これに今回、膵臓がんが加わり、7種のがんのリスクスクリーニング検査が可能になった。

 血中アミノ酸濃度は健康な人では一定に保たれており、そのバランスは厳密にコントロールされていますが、がんになると早期の段階からそのバランスが変化することが分かっている。味の素が大阪府立成人病センター(大阪府大阪市)片山和宏副院長を中心としたグループとの多施設共同研究において、膵臓がん患者360名と健康な人8,372名の血中アミノ酸濃度バランスの変化を解析した結果、膵臓がん患者では健康な人に比べ、有意に変化していることが示された。

 また、手術可能な段階(UICCステージ IIBまで)の患者でも進行がん患者と同様の血中アミノ酸濃度バランスの変化を示すことが分かり、その変化を解析することで、膵臓がんの早期発見技術の開発が可能になった。(編集担当:慶尾六郎)