今週の上値を考えるとき、25日線よりも上にある12日のメジャーSQの「まぼろしのSQ値」20473円がどうしても気になる存在。SQ日に上について抜けなかったまぼろしのSQはその後、上値追いをはね返す屈強なレジスタンスラインになる可能性があるからだ。前週は迫ることさえもできなかったが、今週もたとえば「ギリシャの債務問題の根本的解決へのロードマップに合意」のような、よほどの好材料でもない限りそれを抜くのは困難とみる。
前週にFOMCも日銀会合も通過して、今週は国内の経済指標の発表が少ないので、20206円の5日移動平均線は自律反発で抜けられるとしても、20318円の25日移動平均線を抜けるには外部要因の後押しが必要になる。その外部要因の欧米の株価や為替も、とどのつまりはギリシャ問題の成り行き次第になると思われる。
一方の下値のほうは、再度の2万円の大台割れは十分想定しておくべき事態。ギリシャ問題など外部要因の突発的な悪化に備えておかねばならないからだ。その場合、下げ止まりのメドはボリンジャーバンドの25日線-2σの19929円付近とみる。19900円あたりまで下がると、下には今週19841円まで上昇する「雲」の上限、19775円の75日線など、サポートしてくれそうな「救いの手」がいろいろ揃っている。
裁定買い残が急減しても、突発的な悪材料には勝てない。需給の改善は冷や酒のように後でジワジワと効いてくる。その効果は週単位ではなく、何カ月も後になってから日足チャートにトレンドラインを引いたときに浮かび上がって、見えてくるような性質のもの。
ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは19900~20450円とみる。もしかするとこの騰落幅は今年の夏じゅう続くかもしれない。というのは前週のFOMCで利上げ時期をあいまいにしたため、この夏はアメリカの長期金利も為替も株価も、経済指標やギリシャや中国などに翻弄されながらボラティリティが拡大して不安定になると予想されるからで、外国人投資家にリスクのスイッチを頻繁にオンにされたり、オフにされたりする影響は当然、東京市場にも及ぶだろう。
マイナスの営業日が2日しかなく、ひたすら上昇した5月相場は、めったに見られなかった現象。その再来を安易に期待してはいけない。今後、ボックス相場(レンジ相場)にはまって高値追いが期待できなければ、下値支持線と上値抵抗線を見極めて押し目買いと利益確定売りを繰り返すという、為替のFXで〃ミス・ワタナベ〃さんお得意の逆張り戦術で小さな利益を積み重ねていけば、それで上出来だ。「平凡なことを毎日平凡な気持ちで実行することが、すなわち非凡なのである」(アンドレ・ジッド)(編集担当:寺尾淳)