格安SIMの契約数拡大。前年の1.9倍増えて326万件に

2015年06月24日 08:27

 現在、携帯電話を選ぶ時には主に3つの選択肢がある。1つは高い普及率をみせているスマートフォン(多機能携帯電話)であり、2つは「フィーチャーフォン」あるいは「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話である。一時期はこの従来型携帯電話からスマートフォンに乗り換えるユーザーが多数いたが、今ではスマートフォンの利用料金の高さに抵抗を覚え、再びこの従来型携帯電話に戻るユーザーも増えている。そして3つ目は、現在、その普及率と知名度を高めている「格安SIM」である。この「格安SIM」は通常のスマートフォンよりも低い料金で利用できることから、徐々にユーザー数を拡大させている。

 そうしたなか、17日に調査会社のMM総研は2015年3月時点での、通信大手の回線を借りてサービス提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)の市場規模の調査、また「格安SIM」の市場調査などについての結果を発表した。それによれば、MVNOの回線数は前年比105.7%アップの3045万回線で、ほぼ2倍の回線数となったことがわかった。

 こうしたMVNOの回線数の倍増の背景には、言うまでもなくスマートフォンなどを低料金で使用することのできる「格安SIM」の寄与度の高さがある。モバイル市場全体での契約数は1億7670万契約だが、そのうちMVNOのシェアは前年比7.8ポイントアップの17.2%と、こちらもほぼ倍増。さらに「格安SIM」などの「独自サービス型SIM」の契約数は、前年の1.9倍の326万件に増加した。14年3月末時点では173万回線だったので、1年間で回線数は88.4%アップしたことになる。

 「格安SIM」の事業者別に見てみると、流通大手のイオン<8267>の格安スマホとのセット販売を開始したビッグローブが前年比2.6倍の23万3000件と大きく契約数を伸ばし、17万2000件の日本通信<9424>を抜いて第3位となった。第2位のインターネットイニシアティブ<3774>も前年比2.1倍の53万6000件と大きく伸長、第1位のNTTコミュニケーションズも契約数73万8000件と前年と比べて80%伸長させた。

 MM総研は今回の結果に対して、「格安SIM」の用途が「2台目端末」から「メーン端末」に変容しつつあると分析し、17年3月には契約数は790万件にまで拡大するのではないかとの見方を示している。(編集担当:滝川幸平)