自民党は27日、党の若手議員らが作家の百田尚樹氏を講師に招いて開いた任意の勉強会(文化芸術懇話会)で「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけてほしい」などと政治家として資質を疑うメディア批判を行った議員3人を「厳重注意処分」にしたほか、勉強会の代表をつとめる木原稔党青年局長を「役職停止1年」にした。
厳重注意されたのは大西英男衆院議員(東京16区)、長尾敬衆院議員(近畿ブロック)、井上貴博衆院議員(福岡1区)の3人。
谷垣禎一幹事長は「自民党への国民の信頼を大きく損なうもので、看過できない」と早期処分を決めた。今回の勉強会での議員発言が尾をひけば、安保法案の国会審議がさらに遅れることになると判断したとみられる。
菅義偉官房長官も問題発覚で記者団に聞かれた際「政府の立場でのコメントは控えたい」としながらも「政治家は誤解を受けるような発言は避けるべき。事実関係について党内できちんとやるべきと思う。(発言内容が事実なら)非常識だ。誰から見てもそうだと思う」と強く懸念し「国会議員は自らの発言に責任を持つべき」と当事者に自覚を促していた。
この問題が衆院安保特別委員会で取り上げられたことから、事実関係を確認した浜田靖一委員長は「そうした主旨の発言があった事実を確認した。甚だ遺憾と思う」と遺憾の意を委員会で示した。
安倍晋三総理も野党議員の質問に「報道の自由は民主主義のまさに根幹をなすものであり、尊重されるのは当然で、報道の自由を尊重するというのは私の一貫した立場であるし、党としてもそうだ。その考え方は党内において徹底していく。今後は襟を正していく」と答弁する羽目になった。この問題については、同じ自民党内からも「看過できない」との声が出ていた。
長尾議員は27日午後9時過ぎ、ツイッターで「本日、党本部より厳重注意処分が決定し、慎んでお受けいたしました。関係各方面に混乱を招きましたこと、心よりお詫び申し上げます。 延長国会における各重要法案の審議が滞りなく行われるよう取り組んでまいります」と載せた。木原稔青年局長のHPは27日午後10時15分現在、ページは表示できませんとなる。ツイッターは大使館訪問のコメントが直近(26日)のもので、今回の件についてはツイッターに触れていない。(編集担当:森高龍二)