消費税増税に伴う駆け込み需要が発生した2014年3月以来、1年2ヶ月ぶりに1世帯あたりの消費支出がプラスとなった。またプラスとなるのは、消費税増税以来初のこととなる。26日、総務省が5月の人以上世帯の家計調査を発表。それによれば、1世帯当たりの消費支出は28万6433円で、物価変動を除く実質で前年同月比4.8%アップという結果であった。
去年の5月は消費税増税の影響もあって消費が落ち込んだ。今回の結果は、その反動が現れる形となった。項目別に見てみると、冷蔵庫やエアコンなどの「家庭用耐久財」が前年同月比56.6%アップ、ポリ袋やラップなどの「家事用消費品」が前年同月比14.6%アップという結果であり、いずれも大幅な支出増をみせた。
またサラリーマン世帯の消費支出も前年同月比7.5%アップと大幅改善。世帯主ではない配偶者などの収入が増えており、それが家計の消費を助長する傾向にあるという。またサラリーマン以外の世帯もこれまでのマイナス続きから一転して前年同月比1.4%アップとプラスに転じた。春闘での賃上げの影響が及びにくい自営業者や無職世帯でも、消費の持ち直し傾向が進行している状況がうかがえる。
そして5月の勤労者世帯の実収入は1世帯あたり43万325円で、物価変動を除く実質で前年同月比1.5%アップという結果であり、これで2ヶ月連続でプラスとなった。また名目も前年同月比2.2%アップとプラスであった。
同日に総務省は全国消費者物価指数も発表。それによれば、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比0.1%アップとなった。市場では、原油安の影響により横ばいになるとの予想がなされていたが、かろうじてプラスとなった。上昇品目は332で、下落の145を2倍以上上回った、家計調査における食料の消費支出は前年同月比0.7%アップという結果であり、値上げが消費の足を引っ張らない環境が整いつつある現状が浮き彫りになっている。
また厚生労働省が発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0.02%アップの1.19倍であり、改善となるのはこれで2ヶ月連続のこととなる。さらには1992年3月以来となる高水準であった。総務省が発表した5月の完全失業率(季節調整値)は前月と横ばいの3.3%であった。(編集担当:滝川幸平)