日毎に暑さが増してくるにつれ、テレビCMや店頭のポスターなどで「UV」という文字を見かける頻度が増えてきた。化粧品売場やドラッグストアだけでなく、コンビニのコスメコーナでもUV商品は当り前のように並んでいる。最近では、女性だけでなく男性用のUV化粧品も人気が高まっているようだ。
株式会社総合企画センター大阪が昨年実施した、日焼け止め(UVケア化粧品)についての市場調査によると、UVケア化粧品の市場規模はついに400億円を突破し、2013年度の売上高は前年度比11.2%増となる407億円を記録、2年連続で2桁伸長となった。好調の背景には、全国的な猛暑や、ユーザーの裾野が男性にまで広がっていることなどが挙げられている。さらに、安全性や使用感が格段に向上したことで、子供や乳幼児への利用も増えているほか、レジャーユースからデイリーユースへの意識の変化が見られる。
とくに2013年1月、シミやしわの発生に大きく関わるといわれる紫外線A波(UVA)を防ぐ指標である「PA(Protection Grade of UVA)」の最高レベルが「+++」(スリープラス)から「++++」(フォープラス)に引き上げられたことをきっかけにユーザーの関心も一際高まり、それに合わせて各店舗において売り場スペースが拡大されたことなども、市場の拡大に大きく影響していると思われる。
それにしても、驚くべきは主要メーカー各社の開発力だ。PAの新基準に対応しながらも、他社との差別化を図るオリジナルアイテムや技術を次々に発表している。
例えば、今年の注目商品としては、紫外線の中で最も波長が長く、肌の奥深くまで侵入して、深刻なダメージを与えてしまう「Deep UVA」を防止する商品がある。「Deep UVA」は別名「ロングUVA」とも呼ばれる長波長のUVAで、肌の奥まで届いてしまうので、シミやシワ、たるみなど「光老化」といわれる症状の主な原因と考えられている。今年のラインナップとしては、アスタリフトの「アスタリフトホワイト パーフェクトUV クリアソリューション」や、ランコムの「UV エクスペール XL フレッシュ アクアジェル」、また敏感肌のためのスキンケアブランドとして注目が高まっているラ ロッシュ ポゼのUVイデアシリーズからは「UVイデア XL アクア フレッシュジェル クリーム」などが発売されている。
また、紫外線を防ぐだけでなく、大気汚染や花粉、タバコの煙などの刺激物質から肌を守る効果が付加された商品も今年のトレンドの一つだ。こちらはファンケルの「サンガード50+ プロテクトUV」や、雪肌精の「サンプロテクト エッセンス ミルク N」などがあげられる。
さらに独自路線で興味深いのが、ロート製薬<4527>の「オレゾ フェイスプロテクトUV」だ。同社が展開する「Orezo(オレゾ)」シリーズは、紫外線の影響で起こるシミや肌ダメージ等に着目し、強力な紫外線カット力で紫外線を「シミにしない」という発想から生まれた日やけ止めシリーズ。2006年の発売以来、40代以降の女性を中心に高い人気と満足度を誇るブランドだ。そんなオレゾが、今期、エイジングケアを兼ね備えた日やけ止めに進化した。「オレゾ フェイスプロテクトUV」は、紫外線カットするだけでなく吸収して赤く発光し、肌のトーンを明るく見せる世界初のトーンチェンジパウダーを配合していることが最大の特長だ。しかも今回新たに、抗しわ製品評価効能ガイドラインによる試験を実施し、乾燥による小じわに対する効果も確認されている。もちろん、従来からのオレゾシリーズの特長である、こだわりぬいた使用感も健在で、さらには化粧下地にも使えるなど、ユーザー目線の商品づくりがうけており、2月のリニューアル発売以降、従来のファン層だけでなく新規客の獲得も順調のようだ。
実際のところ、今の化粧品はどれもレベルが高い。極端に安価なものを使用しない限り、紫外線カット効果も、各社で大きな差はないだろう。あとは使い心地など、好みと目的の問題だ。女性だけでなく男性も、いろいろ試して自分の肌にピッタリとくるものを見つけてほしい。(編集担当:石井絢子)