厚生年金と国民年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は10日、2014年度の運用益を発表。それによれば、運用益は前年度比49.6%アップの15兆2922億円であり、運用利回りは12.27%に達したことがわかった。運用益、運用利回り、いずれも過去最高を更新した。年金積立金管理運用独立行政法人は去年より、これまでの国債中心の運用から株式の運用割合を倍にまで引き上げる方針を立てていたが、その結果、円安・株高の影響も寄与して高い収益を得たものとみられる。
こうして運用益が10兆円を超えるのはこれで3年連続のことで、14年度末の運用資産額は137兆4769億円で、自主運用を開始した01年度以降で最も大きな額となった。運用益の内訳を見てみると、国内株式が6兆9105億円で利回りは30.48%、外国株式が4兆7863億円で利回りは22.27%であった。去年10月、株式市場の活性化をはかる安倍政権の意向を受けて、年金積立金管理運用独立行政法人は積立金の投資配分の目安を定める資産構成割合を変更。その結果、これまでともに12%であった国内株式と外国株式の割合をそれぞれ25%にまで引き上げ、60%であった国内債券を35%とした。今回の結果は、そうした意向が色濃く反映されており、運用資産に占める国内株の比率は13年度の15.9%から22%にまで拡大した。外国株式は20.89%であった。
そのほか、国内債券の利益は1兆5957億円で利回りは2.76%、外国債券は1兆8884億円で利回りは12.70%であった。運用資産に占める債権の割合は、国内債券が39.39%で、外国債券が12.63%であった。
こうして国内外の株式の運用により過去最高の利益を得た今回の結果だが、不安要素がないわけでもない。中国の景気減速やギリシャの財政危機など、世界経済の先行きは以前よりも見通しが立たない状況になりつつある。こうした状況にあっては、これまでのように株式の運用により大きな利益を得られ続けるとは限らないだろう。「思わぬ落とし穴」にはまってしまう危険性も十分にある。(編集担当:滝川幸平)