「学問と良識の名において、違憲性のある安全保障関連法案が国会で審議されていることに強く抗議し法案に断固反対」と集団的自衛権行使を含む政府の安保法案に反対しなければならないと輪を広げている憲法学者や社会学者、政治学者、物理学者、歴史学者らジャンルを超えて学者らが危機感を訴え、20日、都内で記者会見を開き、改めて安保法案に反対すると発信した。
ノーベル物理学賞を受けた益川敏英狭隘名誉教授は「憲法9条(戦争の放棄)をなし崩しにしようとしている。政権が有事と思ったら戦争ができるというのはとんでもない話。立憲主義から真っ向から敵対する」と戦後最大の危機的状況にあることを強くアピールした。学者の会の主張への賛同者は学者・研究者らですでに1万1200人を超えている。また、賛同する市民も2万2000人を超えた(20日午後9時)。
会は今月末、安保法案に反対する学者と学生の共同行動を展開することにしており、砂防会館を起点に都内をデモ。国会議事堂前でも廃案を訴える。
会は「法案は(1)日本が攻撃を受けていなくても他国が攻撃を受けて、政府が「存立危機事態」と判断すれば武力行使を可能にし(2)米軍等が行う戦争に、世界のどこへでも日本の自衛隊が出て行き、戦闘現場近くで「協力支援活動」をする(3)米軍等の「武器等防護」という理由で、平時から同盟軍として自衛隊が活動し、任務遂行のための武器使用を認めるもの」と指摘。
「60年以上にわたって積み重ねられてきた『集団的自衛権の行使は憲法違反』という政府解釈を安倍政権が覆したことで、米国の侵略戦争に日本の自衛隊が参戦する可能性さえ生じる。日本が戦争当事国となり、自衛隊が国際法違反の『侵略軍』となる危険性が現実のものとなる」とし安保法案の廃案を訴えている。
また「私たちは、かつて日本が行った侵略戦争に多くの学徒を戦地へ送ったという、大学の戦争協力の痛恨の歴史を担っている。その歴史への深い反省から、憲法9条とともに歩み、世界平和の礎たらんと教育研究活動にたずさわり、再び戦争の惨禍を到来させないようにしてきた。二度と再び、若者を戦地に送り、殺し殺される状況にさらすことを認めることはできない」と、自戒を込めたメッセージも発信しているだけに、重みや危機感も伝わってくる。(編集担当:森高龍二)