【今週の振返り】中国発世界景気減速懸念で1083円下落した週

2015年08月22日 20:32

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ギリシャの債務問題、上海市場の暴落、人民元の切り下げに世界が揺れても、「漂えど沈まず」だった東京市場。だが〃神話〃はズタズタに引き裂かれた。

 取引時間前に財務省が発表した7月の貿易収支は2681億円の赤字で4ヵ月連続。前年同月の9665億円より赤字は大幅に縮小したが、赤字幅が市場予測530億円の約5倍もある予想外の悪さだった。為替のドル円は乱高下。日経平均は86円安の20467円と20500円を割り込んで始まる。TOPIXもマイナス。始値を「寄り安」に上昇して3分後に20500円台を回復しても続かず、低迷が続く。テロが起きたタイを各社がアジアの生産拠点とする自動車関連や、テロのたびに国際線乗客減の懸念が出る空運がふるわない。午前9時台後半になると水準をやや上げて20500円をコンスタントに超えるようになる。だが今日も、東京市場は上海市場の下落にさいなまれる。中国人民銀行発表の基準値はわずかに人民元高だったが、前日あれだけ下げたのに本取引開始前のプレマーケットの段階から上海総合指数が続落すると、日経平均は80円を超える下げを喫し10時31分の20418円でようやく下げ止まる。値を戻しても20450円前後がせいぜい。11時台も20480円に迫っては追い返され、前引けは105円安の20448円。

 上海はなおも低迷し一時5%を超える下落で午前中の取引を終了。日経平均は安値を更新して再開後すぐに20400円を割り、午後0時台のうちに20300円も下回る。1時台は20300円近辺の小動きから抜け出せず、それが2時台前半まで続く。日本政府観光局(JNTO)が2時に7月の訪日外国人客数を発表し、前年同月比で+51%。1~7月のトータルで早々と1000万人の大台に乗せた。昨年は10月に乗せている。中国からはほぼ2倍。7月の全国百貨店売上高は全国既存店ベースで+3.4%と4ヵ月連続プラス。東京地区に限ると+7.2%。上海市場が暴落しても「インバウンド消費に一点の曇りもなし」だった。しかし東京市場は大雨。2時台後半になると上海が下げ幅を縮小したのとは逆に日経平均は先物の仕掛け売りで下げ幅を拡大し、2時58分に20218円まで下げる。終値は331円安の20222円で、日中値幅は303円もあった。東証1部全面安でTOPIXは安値引け。皮肉にも上海は+1.22%と反発した。

 日経平均終値は331.84円安の20222.63円、TOPIX終値は-23.74の1648.48。売買高は20億株、売買代金は2兆4254億円。値上がり銘柄数は169、値下がり銘柄数は1652。上昇したセクターはパルプ・紙、電気・ガス、石油・石炭の3業種のみ。下落したセクターは30業種で、その下位は保険、空運、化学工業、食料品、電気機器、非鉄金属などだった。

 20日の日経平均は3ケタの大幅安で3日続落。NYダウは162ドルの大幅安で2日続落。ヨーロッパ市場も軒並み大幅安。7月の消費者物価指数(CPI)はガソリン価格低下が効いて+0.1%で市場予測を下回り、原油在庫の増加で原油先物価格の終値が1バレル40.80ドルと40ドル割れ間近まで下落してはダウの3ケタ安も致し方なし。FOMC議事要旨は参加者が「利上げは近い」と認識しながら原油安と中国経済への懸念で時期尚早という意見も根強く「ハト派寄り」のニュアンス。株価の反応は一時的だったが為替がドル安で反応し、ドル円は123円台後半、ユーロ円は137円台後半で円高が進行したため、CME先物清算値は20100円まで下がった。

 世界的なリスクオフムードに支配され金先物が上昇する中、日経平均は20200円をあっさり割り28円安の20194円で始まる。TOPIXもマイナス。序盤から下げ一方で午前9時4分に20156円まで下げる。そこで売り物をさばいて9時台はおおむね20100円台後半で推移するが、10時前から安値を取りながら下落し10時16分に20110円の安値をつける。上海市場は小幅安で始まるが、日経平均はその下げ幅に安心したのか上昇に転じ10160円付近まで戻すものの、長続きせずヘタって下落し、CME先物清算値にほぼさや寄せする20107円の安値を更新するなど反発は弱々しい。10時台は20100円台前半で踏みとどまっていたが、11時台になると上海市場の下げ幅拡大に同調して20100円も割り込むようになり、前引けは122円安の20100円だった。

 上海はその後、下げ幅を圧縮して午前の取引を終えたので、後場は小幅安で再開しプラスに浮上。午後0時37分に20246円まで上昇する。しかしプラスはつかの間。あとはズルズルと下げ一方で1時前に20200円、2時前後に20100円を割り込み、終盤も上海が下げ足を速めたため下落が止まらず、終値はほぼ安値引けの189円安の20033円で3日続落。7月10日以来1ヵ月半ぶりの低水準で、2万円の大台を割らず寸前で止まっただけ、まだまし。日経平均の下落率0.94%に対し、先物売りのターゲットになっていたTOPIXの下落率は1.49%と、より深刻。上海総合指数は結局、3.42%下落して終えていた。

 日経平均終値は189.11円安の20033.52円、TOPIX終値は-24.60の1623.88。売買高は21億株、売買代金は2兆5429億円。値上がり銘柄数は240、値下がり銘柄数は1580。上昇したのは不動産、海運、情報・通信の3業種だけ。30業種が下落し、下位は保険、ゴム製品、鉱業、鉄鋼、卸売、銀行などだった。