日本銀行は26日、運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す企業向けサービス価格指数の7月の速報値を発表した。それによれば、7月の企業向けサービス価格指数の速報値(2010年平均=100)は前年同月0.6%上昇の103.1であり、これで25ヶ月連続で上昇となった。観光需要の拡大により「宿泊サービス」が好調に推移したことなどが全体に寄与。数値の上昇率は前月よりも0.2ポイント高かった。
品目別に見てみると、調査対象の147品目のうち、前年同月から上昇したのは62品目で、下落したのは45品目という結果であった。これで22ヶ月連続で上昇した品目数が下落した品目数を上回ったが、14年11月以降だんだんその差は狭まりつつある。主な内訳は、「宿泊サービス」が前年同月比10.1%上昇し、6月の前年同月比8.8%よりも上昇幅が拡大した。「テレビ広告」や「インターネット広告」も前年同月を上回り、全体の数値を押し上げた。14年6月に開催されたサッカーワールドカップのブラジル大会の影響により「テレビ広告」の単価が上昇していた反動が、7月に入って落ち着きをみせた。「新聞広告」もマイナス幅が縮小。結果、6月には下落していた広告が全体的に持ち直した。そのほか貸切バスや貨物輸送トラックの運賃上昇などにより、運輸・郵便も上昇した。しかしその一方で、「産業機械リース」などはプラス幅が縮小。そのほか「労働者派遣サービス」や「職業紹介サービス」もプラス幅が縮小となった。
25ヶ月連続で上昇となった7月の企業向けサービス価格指数だが、今回の結果について日本銀行は、指数のプラスが継続しているが、加速的に上昇するには至っていないとして、今後、現在進行中の急激な円高により、ドル建てで値決めされる海上運賃や、ガソリン価格に反映されやすい国内の輸送料金が下押しされる可能性があるため、為替など先行きを予断なく見ていく必要があるとしている。
そして14年4月に実施された消費税の引き上げは、下水道などの一部の料金で経過措置により実施が4月以降にずれこんでいるため、日本銀行は同日に消費税引き上げの影響を除いた指数も発表しているが、7月の結果については違いがなかった。(編集担当:滝川幸平)