8月の「東日本大震災」関連倒産は10件 5カ月連続で前年を下回り収束傾向続く

2015年09月06日 19:51

 東京商工リサーチは、「東日本大震災」関連倒産(8月速報値)を発表した。それによると、8月の「東日本大震災」関連倒産は10件(速報値:8月31日現在)にとどまった。5カ月連続で前年同月を下回り、収束傾向が続いている。ただし、震災から4年半を前にして累計件数は1,649件(8月31日現在)に達した。8月の負債総額は26億7,800万円で、3カ月ぶりに前年同月を上回った。また、負債10億円以上の大型倒産が1件(前年同月ゼロ)発生した。

 具体的な事例としては、生鮮食品販売と自然レストラン経営の鮮味は、レストラン「みらい農園・Berry」を経営していたが、東日本大震災で店内設備が被害を受け閉店を余儀なくされた。さらに併営していた生鮮食品の販売も原発事故の風評被害から売上が伸びず、金融機関からの資金調達も限界になり破産を申請した。

 また、ソフトウェア開発のPHPSCHOOLは、外国人システムエンジニアを積極的に採用し、大手企業などに派遣してアプリケーションシステムの開発を手がけていた。しかし、東日本大震災による原発事故で多くの外国人SEが帰国して事業が立ち行かなくなった。2013年3月に営業活動を停止していたが、ここにきて破産を申請した。

 震災関連倒産は収束傾向を強めているが、震災の影響をいまだに引きずって業績不振から抜け出せないところや、事業停止中の企業が整理を決定したケースがみられるとしている。

 8月の地区別は、東北が6件、関東が4件。このうち、東北は岩手2件、宮城・青森・山形・福島が各1件だった。倒産の累計1,649件を都道府県別にみると、最多は東京の500件(8月3件)。次いで、宮城128件、北海道82件、神奈川と福岡が各68件、千葉62件、岩手61件、茨城58件、群馬55件、栃木と静岡が各47件、大阪と福島が各44件、山形43件、埼玉41件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は325件(構成比19.7%)だった。

 倒産の累計1,649件を産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の435件(8月3件)。次いで、製造業が380件(同2件)、卸売業が305件(同1件)、建設業が200件(同1件)、小売業が151件(同1件)と続く。

 被害型で分類すると、「間接型」1,512件(構成比91.6%)に対し、「直接型」は137件(同8.3%)だった。8月は「直接型」が2件(岩手・福島)だった。(編集担当:慶尾六郎)