一時期、芸能人の親族が不正受給していたことが発覚し、何かとテレビや週刊誌を騒がせていた生活保護だが、この生活保護の受給者の数が増えている。厚生労働省は2日、6月末時点での生活保護を受けている世帯数を発表。それによれば、生活保護受給世帯は全国で162万5941世であり、過去最多を更新したことがわかった。これまでの最多は5月だったが、それよりも3416世帯増加。また受給者数は前月比1686人増の216万3128人という結果であった。受給者数の増加は3ヶ月ぶりのこととなる。
世帯別(一時的な保護停止を除く)で見てみると、65歳以上の高齢者世帯が増加傾向にあり、79万6455世帯と全体の49.2%を占めた。また働ける世帯を含む「その他の世帯」は27万3823世帯で、全体の16.9%を占めた。今回のこの結果について厚生労働省は、雇用情勢の改善などにより、働くことのできる世代を含む「その他の世帯」や「母子家庭」は減少しているものの、高齢者の人口自体が増加しており、若年層と比べて就労が難しいことから増加傾向が続いているとの見方を示している。そのほか、怪我や病気などで働けない「傷病者世帯」は25万4936世帯、「障がい者世帯」が18万8161世帯、「母子世帯」が10万4399世帯となっている。
高齢化社会の訪れとともに、この生活保護受給世帯、そして生活保護受給者の増加は大きな問題となっている。しかし、最初に述べたテレビや週刊誌などの騒動もあって、生活保護受給世帯、生活保護受給者に対する「いささかバイパスのかかった偏見」が世間に流布してしまっているようにも思う。確かに、制度の網の目をくぐって生活保護を不正受給しようとする者もいる。しかし、高齢や怪我・病気などのやむを得ない理由により働けなくなった人たちを救済する制度として、この生活保護は必要不可欠であると思う。こうして生活保護受給世帯や生活保護受給者が増加傾向にあること、そして不正受給しようとする者がいるのであれば、一度このタイミングで制度を抜本的に見直してみてもいいのではないだろうか。(編集担当:滝川幸平)