国内インポートブランド市場拡大は、景気拡大の証か?

2015年09月19日 19:12

画・国内インポートブランド市場拡大は、景気拡大の証か

2014年の国内インポートブランド市場規模(主要15アイテム分野)は、矢野経済研究所の調査によると小売金額ベースで、前年比10.3%増の2兆1,993 億円となり、4年連続のプラス成長となった。

 2014年の国内インポートブランド市場規模(主要15アイテム分野)は、矢野経済研究所の調査によると小売金額ベースで、前年比10.3%増の2兆1,993 億円となり、4年連続のプラス成長となった。

 ここでいう、インポートブランド市場規模とは、主要となる15アイテムについてである。具体的には「レディスウェア」、「メンズウェア」、「ベビーウェア」、「バッグ・革小物」、「シューズ」、「ネクタイ」、「スカーフ・ショール・ハンカチ類」、「レザーウェア」、「ベルト」、「手袋」、「ウォッチ」、「ジュエリー」、「クリスタル製品・陶磁器」、「アイウェア」、「筆記具」だ。そしてこれらは、いずれも欧州、及び米国からの輸入品に限られている。

 市場規模は拡大したものの、インポートブランドビジネスを取り巻く環境としては、むしろ厳しい環境下にあった。最たる要因は、今尚続く円安(ユーロ高、ドル高)の進行である。それにより、13年、14年と度重なる商品価格の値上げに踏みきらざるを得ないブランドが続出して、日本人中間層の消費を鈍らせる結果となった。

 また、2014年4月には消費増税も行われ、同年3月までの駆け込み需要で潤ったブランドは多かったものの、秋以降の商品価格の値上げも加わり、特に日本人中間層の消費鈍化に拍車をかけるものとなった。

 このような環境下でも14年の市場規模の拡大出来た要因としては、従来の顧客である富裕層の消費が依然活性化をしていたことと、インバウンド需要(訪日外国人客のブランド消費)の急激な拡大が背景にあったと考える。

 2015年に関しては、富裕層消費の好調さや、インバウンド消費の拡大という好影響はあるものの、日本人中間層の消費行動に陰りが見られる点は楽観視できない。しかし、こうした消費減退の要因が景気後退などによるものではなく、ブランド側の商品価格の値上げによるものであるとするならば、ブランド側の価格戦略次第では好転する可能性もあるものではないだろうか。

 矢野経済研究所は現在の景況とブランド各社の動きから、2015 年の国内インポートブランド市場規模は小売金額ベースで、14年比5.4%増加の2兆3,189億円と予測している。

 また14年についてアイテム別にみると、15アイテム中11アイテムの市場規模が前年から拡大する結果となっている。中でも拡大が目立ったアイテムとしては、インポートアイウェア(前年比 21.5%増)、インポートウォッチ(前年比 20.6%増)が挙げられるが、これらはインバウンド需要の拡大に因るところが大きいだろう。

 また、インポートシューズは、他のアイテムが成熟しているのに対し、近年まさに需要が拡大しているマーケットだ。日本におけるインポートシューズは国内ブランドのシューズと比較するとまだまだ小規模ではあるが、ユーザーのシューズアイテムへの意識変化やそれを捉えるブランド側の取り組みもあり、近年ようやく拡大してきている。皮革シューズ製品に対する輸入規制の問題や景気動向に左右されることはあるものの、長期的に見ると、今後も成長していく市場であるのではないだろうか。

 こうして見ていくと、国内インポートブランド市場拡大は、単純に景気拡大の証といえるものではないことがわかるが、今後も、インバウンド需要が増大することは間違いなさそうである。(編集担当:久保田雄城)