一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(日本DIY協会)によると、2014年度の国内ホームセンター小売市場規模は、前年度比98.7%の3兆9,260 億円と再びマイナス成長となった。
矢野経済研究所では、国内のホームセンター小売市場の調査を実施した。それによると、国内ホームセンター小売市場は、1970年代は倍増ペース、1980年代から 1990年代にかけては年率10~20%増の伸び率で拡大を続けてきたが、2000年代以降1%台とそのペースは鈍化傾向となり、2006年度にはじめてマイナスとなった。その後もマイナス成長が続いたが、2011年度以降は、プロユーザー向けDIY商品の好調や、ペット用品需要の高まり、震災後の復興需要が、2013年度は消費税増税前の駆け込み需要などが市場をけん引し、プラスに推移したとしている。
2014年度の国内ホームセンター小売市場のマイナス成長は、消費税増税前の駆け込み需要の反動減が主因であり、特に 2013年の秋頃から顕在化していた住宅リフォームなどの高額商品需要が 2014年4月以降に一気に冷え込んだことが大きいとしている。このような理由により、目前に迫っている4兆円の突破はならず足踏み状態が続いていると考えるとしている。
注目されるものとしては、PB(プライベートブランド)商品やオリジナル商品があるという。これらはホームセンター事業者各社のスタンスは異なるものの、他社との商品差別化や収益の確保を目的として多くの事業者において採用が行われている。近年は、インターネット販売強化の動きもあり、“ここでしか買えない”として、全国の消費者を相手にアプローチできる点も大きな訴求ポイントとなっているという。
また、小売業態としてホームセンターは、新分野の商品拡充により成長を続け、「総合店」としての店舗フォーマットを確立してきた。結果として、近年では競争による店舗フォーマットの同質化に陥っており、どこも似通った店舗になっていた。そのため、ホームセンター事業者各社は独自の店舗フォーマット確立を目指した取り組みを積極化しており、建設事業者向けのプロショップやペット需要の高まりに伴うペット用品専門店、地方の自転車店減少に対応したサイクルショップなどの「専門店化」により、小売・サービスの深耕・差別化を進めているとしている。
家具店やスーパーとの「複合型」店舗による集客力強化や、都市近郊の住宅立地における無料即日配送などのサービス提供を目指す「都市型」コンビニホームセンターの他、ライフスタイル提案を重視したセレクトショップやカフェと融合した新しい買い物空間を提供する「コト消費型」店舗など、差別化された店舗の構築を事業者各社が志向する動きが活発化しているとした。
今後の国内ホームセンター小売市場は、中長期的にみれば人口減少に伴う需要の縮小があり、短期的にも店舗フォーマットや取扱商品の同質化によるホームセンター同士の価格競争や、GMSやスーパー、ドラッグストア、100円ショップなどの他小売業種との、家庭日用品をはじめとする競合商品での販売競争が激化していくことへの懸念があると分析している。
また、新規出店数の減少や1店舗あたりの売上高が減少基調であることを考えても、国内ホームセンター小売市場は横ばい、あるいは微減で推移していくものと予測している。実際、再び以前のような高成長を実現することは難しいという。同社では、2015年度の国内ホームセンター小売市場規模は前年度比101.0%の3兆9,650億円と予測している。(編集担当:慶尾六郎)