パテント・リザルトは、日本に出願された自走・ロボット型掃除機関連技術について、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて参入企業に関する調査結果をまとめた。
日本市場におけるロボットタイプの自走式掃除機はiROBOTのルンバが大きなシェアを持っているが、そのルンバの成功をきっかけに国内外を問わず多くの家電メーカーがロボット型掃除機を積極的に手掛けるようになった。調査では自走・ロボット型掃除機に関する技術の特許を集計し、各個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見た評価を行った。
その結果、「総合力ランキング」では、1位 米・iROBOT(総合力924.8)、2位シャープ(総合力336.3)、3位 英・DYSON(195.9)となった。以下、パナソニック(156.1)、蘭ROYAL PHILIPS(105.7)と続く。
総合力1位のiROBOTは、充電ステーションの場所によらず適切な掃除を行い、かつ掃除機本体と適切にドッキングさせる技術の特許が高い注目度となっている。2位のシャープは掃除機前輪におけるごみの絡まり等を減らす構造、3位DYSONは、障害物との接触を避ける技術に関する特許の注目度が高くなっている。
総合力6位以下に独・VORWERKや、韓国・SAMSUNG ELECTRONICS、韓国・MONEUAL、台湾・UNIRING等、多くの外国企業が見られる。このうちMONEUALの特許はそのほとんどがコニカミノルタからの権利移転となっている。コニカミノルタはかつて多くの出願をしていたが、現在は有効特許が存在しない。同様の企業として船井電機が挙げられるとしている。
同調査は日本に出願された特許を対象としているが、このように外国企業による出願が多く見られる。そこで外国企業の中でも特にiROBOT、DYSONについて、これら2社が特許を権利化していく際にどういった企業が障害になっているか、また2社の特許がどのような企業の障害になっているかについて、引用情報を用いて調査した。iROBOTの先行企業(引用数ランキング)を見ると、同社にとって最も障害となってきた企業はパナソニックであり、他にも多くの日本企業が並ぶ。一方の追随企業(被引用数ランキング)は先行企業と比べると少なく、また外国企業が中心となっている。
DYSONにとって最も障害となってきた企業は東芝であり、1件の差でパナソニックが続いている。これらの結果からパナソニックはiROBOT、DYSONの両社が特許出願する際に大きな障害となっていた企業であることが分かる。DYSONの追随企業としてはiROBOT、シャープが挙げられる。シャープは日本企業で唯一出願した特許の審査に際しiROBOT、DYSON両社の特許が引用されており、他の日本企業と比べこれら2社に近い技術を出願していることが考えられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)