「地元」志向の若者が増えている。「地方創生」というキーワードも連日、メディアを賑わせており、SNSを通して地方の人たちをつなげようという動きもあるようだ。NTTアド(本社・東京)が全国1000人を対象に実施した「地元意識の把握」調査によれば、「東京圏外(東京駅から30キロ圏以外)」に住んでおり、「今住んでいる所が地元」と考える人たちが、最も「地元への愛着心」が強いという。この層は能動的な意志を持って地方に居住しており、「地方創生」を担うキーマンになり得る。
調査は今年7月、生活者の地元に対する意識がどのようなものかを探り、地方創生につながるヒントを発見するために行われた。「東京駅から30キロ以内」を東京圏とし、東京圏居住者を500人、札幌・ 仙台・名古屋・大阪・福岡などの地方都市に住む層を250人、それ以外のエリアに住む層を250人抽出し、ネットアンケートで実施。
「地元意識」を持っている場所について聞いたところ、「今住んでいる所が地元」と回答した人の割合は57.4%と過半数を占め、「以前住んでいた所が地元」と回答した人の 33.8%を大きく上回った。一方、「地元と呼べる所はない」人も8.8%おり、親の転勤が多かったなど、何らかの理由で「地元」を特定できない層もいる。
「今住んでいる所が地元」と答えた東京圏外の人は、地元への「(愛着心が)強い」と回答した人の割合が65.5%と、全体平均に比べてやや高く、「強いとは思わない」と回答した人の割合は8.9%とやや少ない。「今が地元派」の東京圏外居住者は、東京一極集中に流されず、何らかの能動的な意志を持って地方に居住している人が多いのだろう。
一方で、東京圏に住みながら「今が地元派」と答えた人たちは、「(愛着心が)強い」と回答する割合が53.1%とやや低かった。地方からの転入者が多いせいか、比較的「地元意識」が薄いようだ。
東京以外に住み、「地元愛」を持っている人が一定数いることは確かだが、彼らは必ずしも「地域振興施策」について詳しいわけではない。「あなたの地元では、地域を盛り上げるためにどのようなことが行われていますか?」と聞いた結果では、対象者の45%が「特に行われていない・知らない」と回答しており、地域振興施策がリーチしているとは言えないようだ。
調査したNTTアドでは、東京圏以外に住み、地元愛をもっている人たちこそ「地方活性化のキーマン」であると見て、施策の内容次第では、「人々の地域振興施策への参加率が高まる可能性がある」とコメントしている。(編集担当:北条かや)