2015年8月19日、鹿児島県種子島宇宙センターより国産の国際宇宙ステーション(以下 ISS)補給機「こうのとり」5号機が搭載されたH2Bロケットが打ち上げられた。今回の打ち上げには、日本のみならず世界から期待が寄せられている。
8月19日、鹿児島県種子島宇宙センターより国産の国際宇宙ステーション(以下 ISS)補給機「こうのとり」5号機が搭載されたH2Bロケットが打ち上げられた。
今回の打ち上げには、日本のみならず世界から期待が寄せられている。理由は、昨年10月よりISSへ物資を輸送していたアメリカ・ロシアが相次いで打ち上げに失敗し、必要な物資が届かない事態に陥っているためISS補給ミッションに運用上の深刻な問題が発生していたからである。
それに対し、「こうのとり」は初号機が6年前に打ち上げられて以来4回のミッション全てにおいて成功。H2Bロケットは4回連続成功、H2Aと合わせても26回中25回成功し成功率96.2%と世界のトップクラスといわれている。それを受け、今回の打ち上げでは7月末米航空宇宙局(NASA)の要請により余剰スペースに追加物資を入れて運ぶこととなった。それにより予定されていた実験器具のほか宇宙飛行士が必要とする飲料水を作るのに必要なフィルター・食料・衣料など緊急性の高い荷物が運ばれた。
「こうのとり」は予定の軌道に乗り14日ISSへのドッキング成功。29日ISSより切り離され大気圏への再突入し無事ミッションを成功させた。
このように宇宙開発における日本のハード面での技術力の高さもさることながら、このところ人材の活躍も目覚ましい。ISSからロボットアームにて「こうのとり」をキャッチ操作にあたるのは日本人宇宙飛行士・油井亀美也氏、対するNASA管制センターからの操作サポートをするのは日本人宇宙飛行士・若田光一氏と宇宙地上両方を日本人で担うのは今回が初めてのことである。
各国の補給船に様々な課題があるのに対し「宇宙の定期便」と呼ばれる「こうのとり」に対する世界からの期待が高まる今、日本がこれからの宇宙産業においてこれを、文字どおり「こうのとり」の運んでくれたチャンスと捉えるか無駄にしてしまうのかがどうやら課題と言えそうだ。(編集担当:久保田雄城)